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2021年10月27日

【コラム】健康食品の容器として使われてる遮光瓶ってどんなもの?使用時の注意点についても解説

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健康食品の容器などに使用されている遮光瓶ですが、遮光瓶の色によってその効果は異なります。現在では、定番のガラス製の遮光瓶以外に樹脂製の遮光瓶も利用されており、メリットや特徴について理解することで、それぞれ最適な用途での使用が可能です。また、遮光瓶を使用する際に、注意点をしっかりと理解し正しく使用することで、内容物の劣化を防止することができます。今回は、遮光瓶の色の違いや使用の際の注意点、主な用途などについて紹介しますので、是非参考にしてくださいね。

 

■遮光瓶ってどんなもの?

・遮光瓶について

遮光瓶とは、光によって変性・劣化しやすい内容物を保管するための瓶で、光を透過させないように瓶本体が茶色や青色、緑色などに着色されています。

・遮光瓶のメリット

名前の通り、遮光瓶には光を遮断する効果があります。光が当たってしまうことで変色や劣化の恐れがある薬品などを保護できるのが最大のメリットです。
他にも、以下のメリットがあります。
● ガラス製の遮光瓶の場合は煮沸消毒ができるため、清潔な状態を保ちやすい
● 洗って再利用できるため、コストパフォーマンスが高い

・光の波長とは?

遮光性の高い瓶を選ぶ際は、まず光の波長について知っておくことが大切です。光の波長とは、光の粒子が起こしている振動のことで、nm(ナノメートル)単位で表せます。波長が短い光ほどエネルギーが大きく、物質を変性させる力も強いのが特徴です。一方、波長が長い光ほどエネルギーは小さく、物質を変性させる力もそれほど強くありません。
光(太陽光)には以下の種類があります。

● 紫外線(UV-C):100〜280nm
● 紫外線(UV-B):280~310nm
● 紫外線(UV-A):310~400nm
● 可視光線:400~800nm
● 赤外線:800nm~

地上まで届くのは「UV-B」「UV-A」「可視光線」「赤外線」の4種類で、そのうち物質を変性させる力が強いのは波長の短い「UV-B」「UV-A」です。
そのため、多くの遮光瓶は「UV-B」「UV-A」を透過させないことを目的に作られています。

・ガラス製だけでなく樹脂製のものもある

遮光瓶には、ガラス製だけでなく樹脂製の製品もあります。樹脂製の遮光瓶はガラス製に比べて破損する可能性が低いだけでなく、軽くて取り扱いも容易です。

・遮光瓶の主な用途

<健康食品や薬品の容器>
遮光瓶の主な用途の1つは、栄養ドリンクなどの健康食品や薬品の保存です。多くの健康食品に含まれるビタミンは光によって壊れやすいことがわかっており、特にビタミンCなどは光によって変色することもあるので、健康食品は遮光瓶での保存が必須です。
また、薬品などの光に対して不安定な製品は、光が透過しないように遮光瓶で保管する必要があります。

<エッセンシャルオイルの容器>
遮光瓶はエッセンシャルオイル(精油)の容器にも使われます。エッセンシャルオイルは非常に繊細で、空気・熱・光などの影響で品質変異(劣化)を起こしやすいのが特徴です。特に光が当たり続けると劣化速度が早くなるため、遮光瓶で保管する必要があります。

<化粧品の容器>
光の影響で劣化したり成分が分離したりする製品は品質が劣化しないように遮光瓶で保管することが大切です。

<次亜塩素酸水の容器>
次亜塩素酸水とは、食品の消毒などに使用される酸性の溶液です。新型コロナウイルス感染症の影響によりアルコール消毒剤や次亜塩素酸ナトリウムなどが品薄になったため、代替品として注目を浴びています。
次亜塩素酸水は強い光が当たると分解してしまい、効果が薄れるのが特徴です。そのため、効果を保ち続けるためには遮光瓶で保管する必要があります。

 

■遮光瓶の色の違いにはどんな意味がある?

・色によって遮光率が変わる
遮光瓶は瓶本体の色によって遮光率が異なるため、色に注意して選ぶ必要があります。

・青色
青色の遮光瓶は、約300nmまでの波長であれば99%近い遮光率を誇ります。そのため波長範囲が280~310nmであるUV-Bは、一部を除き、ほぼ完全に遮光することが可能です。
しかし、波長が300nm以上になると遮光率が著しく低下してしまいます。310~400nmの波長における遮光率は約10%まで低下するため、青色の遮光瓶はUV-Aを遮光するのに適していません。

・茶色
茶色の遮光瓶は、約400nmまでの波長であれば99%近く遮光できます。UV-B、UV-Aの波長はどちらも400nm以下であるため、茶色の遮光瓶はほぼすべての紫外線から内容物を保護することが可能です。
400nmを超えると遮光率はある程度低下しますが、可視光線が400~800nmの場合でも60%近い遮光率を保てます。

・緑色
緑色の遮光瓶は、350nmまでの波長に対して高い遮光率を発揮します。UV-BとUV-Aの一部を約90%カットすることが可能です。
波長が350nm以上になると遮光率は低下しますが、青色の遮光瓶ほど著しく低下するわけではありません。また、400〜800nmの可視光線に対する遮光率は、茶色の遮光瓶に比べてやや劣ります。

 

■遮光瓶を使う際の注意点

・注意書きをよく確認する
遮光瓶は使い方次第で変形・劣化の恐れがあるため、注意書きをよく確認してから使用しましょう。特に注意が必要なのは、「有機溶剤」「オートクレーブ処理」に対応しているかどうかです。
有機溶剤には他の物質を溶かす性質があり、有機溶剤に耐性をもつ遮光瓶で保存しなければなりません。有機溶剤に耐性のない遮光瓶を使用した場合、キャップ部分の樹脂やゴム素材が劣化する可能性があるため注意が必要です。他にも、ガラス表面に有機溶剤の成分が吸着してしまうこともあります。
オートクレーブ処理とは、圧力容器を使用して飽和蒸気圧の下で瓶を滅菌する方法のことです。対応していない遮光瓶をオートクレーブ処理すると変形・劣化してしまい、保存性が低下する可能性があります。

・運搬用の容器としての使用はできるだけ避ける
遮光瓶はあくまで「保存」を目的として製造されているため、運搬用として用いるには不向きです。運搬中の衝撃によって変形・破損する可能性があるため、注意しましょう。
どうしても遮光瓶を運搬用に用いる場合は、事前に安全性や耐久性の試験を行うことが大切です。また、遮光瓶同士の接触や落下に十分注意してください。

・保管はなるべく光の当たらない場所でする
遮光瓶は、色分けされたそれぞれの特性から一部の遮光に長けていますが、すべての光を完全に遮るわけではありません。紫外線のほとんどを遮光できる茶色の遮光瓶でも、可視光線や赤外線の大部分は透過してしまいます。
そのため、なるべく直射日光や室内照明が当たらない場所で保管するように心がけましょう。

 

■まとめ

劣化・変性しやすい物質を保管するには、遮光瓶を使用する必要があります。
しかし、遮光瓶は材質によって頑丈さが異なるうえに、色によって遮光率も変わります。内容物の特性や保存環境などをよく考慮して、取り扱いに注意しながら最適な遮光瓶を選ぶようにしましょう。
また、遮光瓶ですべての光を遮ることはできないため、遮光瓶に入れ、冷暗所などで保管するようにしましょう。

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