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2021年10月11日

【コラム】プラスチック容器の素材にはどんなものがある?メリットとデメリットについても解説!

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<容器の素材としてよく使われているものの中に、プラスチックがあります。プラスチック容器の素材は大きく2つに分かれており、どちらが使用されるかは用途によって異なります。使用の際には、メリットとデメリットについてしっかりと知っておくことが大切です。今回はプラスチック容器の素材について紹介します。/p>

 

■プラスチック容器の素材は大きく2つに分かれる

・プラスチックとは?

プラスチックとは、熱を加えることで軟化し、さまざまな形に成形できる有機高分子物質のことを指します。かつては石炭を原料に作られていましたが、現在は石油から作られることがほとんどです。
プラスチックは、以下の2種類に分類されます。

 

・熱可塑性(ねつかそせい)プラスチック

熱可塑性プラスチックとは、加熱するとやわらかくなり、冷却すると固まる性質を持った物質です。熱可塑性プラスチックには、結晶性と非晶性の2種類があります。

【結晶性の熱可塑性プラスチック】

●ポリエチレン
●ポリプロピレン
●ポリアミド
●ポリアセタール
●ポリブチレンテレフタレート
●ポリエチレンテレフタレート
●ポリエチレンサルファイド など

【非晶性の熱可塑性プラスチック】

●ポリ塩化ビニル
●ポリスチレン
●ABS樹脂
●AS樹脂
●メタクリル樹脂
●ポリカーボネート など
熱可塑性プラスチックはリサイクル可能なため、さまざまな容器や包装に使用されています。また、日用品や家電類、自動車の部品などに使われることも多い素材です。

・熱硬化性プラスチック

熱硬化性プラスチックとは、加熱前はやわらかく、加熱後は固まる性質を持った物質です。具体的には、以下のものがあります。
●フェノール樹脂
●ユリア樹脂
●メラミン樹脂
●ポリウレタン
●エポキシ樹脂 など
熱硬化性プラスチックは再加熱してもやわらかくならないため、リサイクルには不向きとされています。現在、リサイクルを可能にするための技術を開発中です。
熱硬化性プラスチックは主に食器類や電気機器の基板、テニスのラケットやゴルフのシャフトなどに使われています。

 

■主な熱可塑性プラスチック素材について

・結晶性

熱可塑性プラスチックのうち、分子構造が規則正しく結晶化しているものは「結晶性」と呼ばれます。結晶性の熱可塑性プラスチックは耐薬品性・耐熱性が高く、硬くて丈夫なのが特徴です。

<結晶性ポリエチレンテレフタレート>

結晶性ポリエチレンテレフタレート(C-PET)とは、溶融状態のポリエチレンテレフタレートをゆっくり冷却することで生まれる熱可塑性プラスチックです。
主に以下のような特徴があります。
●透明性が低い
●耐熱性が高い(約220℃まで)
●表面硬度が高い
結晶性ポリエチレンテレフタレートは耐熱性が非常に高いため、加熱調理用の食品容器や耐熱ペットボトルなどに適しています。

<ポリプロピレン(PP)>

ポリプロピレン(PP)とは、プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂の1種です。
主に以下のような特徴があります。

●着色しやすい
●プラスチックの中で最も比重が小さい(水に浮くほど軽い)
●耐熱性が高い(融点160℃以上)
●耐衝撃性に優れている
●耐薬品性が高い
●湿度・水分の影響をほとんど受けない
●耐ストレスクラック性※に優れている
●リサイクル性が高い
●燃やしても有毒ガスが発生しない

※外部から荷重を受けたときに荷重に応じて成形品の内部に生じる抵抗力のこと

ポリプロピレンは加工しやすいため、さまざまな家庭用品や蜂蜜容器、食品容器に使用されています。

<ポリエチレン(PE)>

ポリエチレン(PE)とは、エチレンが重合した熱可塑性樹脂の1種です。
主に以下のような特徴があります。

●弾力がありやわらかい
●高温に弱いため変形しやすい
●化学的に安定しているため、耐水性・耐薬品性に優れている
●絶縁性に優れている
●防湿性が高い
●軽くて加工しやすい

ポリエチレンはプラスチックの中で最も生産量が多く、サプリメント容器・化粧品容器に使われることが多い素材です。

 

・非晶性

熱可塑性プラスチックのうち、結晶化しにくい、もしくは結晶化しないものは「非晶性」に分類されます。非晶性の熱可塑性プラスチックは透明性があり、耐衝撃性に優れているのが特徴です。

<AS樹脂>

AS樹脂とはアクリロニトリルとスチレンから構成される、非晶性の熱可塑性プラスチックです。
主に以下のような特徴があります。

●透明性が高い
●耐薬品性に優れている
●耐熱性が高い
●表面に傷がつきにくい
●引っかき・引っ張りに強い
●耐衝撃性に優れている
●加工や成形が容易
●リサイクル性が高い
●アルコールにより不透明になる(長時間触れた場合)
●直射日光により劣化する(長時間浴びた場合)
●柑橘類の皮に含まれる精油分に溶解する
●可燃性がある

AS樹脂は家電用品、自動車用部品、雑貨品などに幅広く使われています。

<非晶性ポリエチレンテレフタレート>

非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)とは、溶融状態のポリエチレンレフタレートを急速に冷却して作られる熱可塑性プラスチックです。柔軟でしなりやすいため、塩化ビニルの代用品として使われてきました。
主に以下のような特徴があります。

●透明性が高い
●耐油性・耐薬品性が高い
●耐衝撃性に優れている
●曲げ加工がしやすい
●燃やしても有毒ガスが発生しない
●長期間の使用や熱履歴で結晶化し、柔軟性、耐衝撃性、強度などが低下する場合がある

非晶性ポリエチレンテレフタレートは、食品容器やクレジットカード・キャッシュカードなどに使用されています。

<ポリスチレン(PS)>

ポリスチレン(PS)とは、石油化学用ナフサを原料に生成される「スチレンモノマー」が重合した熱可塑性プラスチックです。GPPSと呼ばれる一般用ポリスチレンと、そのGPPSにゴム成分を加えたHIPSと呼ばれる耐衝撃性ポリスチレンの2種類があります。

●透明度が高い(GPPS)
●発泡させやすい(GPPS)
●石油系の溶剤、中鎖脂肪酸系(MCT)オイルに弱い(GPPS)
●耐衝撃性と剛性のバランスがよい(HIPS)
●無味無臭
●絶縁性に優れている
●成形加工しやすい
●断熱保温性に優れている
●リサイクルしやすい

GPPSは電気冷蔵庫の庫内部品やCDケース、ボールペンの軸などに使用されています。また、HIPSは家電やOA機器類のハウジング材・内部部品のほか、食品容器・サプリメントケースなどに使われることが多い素材です。

 

■プラスチック容器のメリットとデメリット

・メリット

<軽くて丈夫>
プラスチックは、金属や陶磁器より軽いにもかかわらず丈夫です。

<腐食やサビに強い>
多くのプラスチックは酸・アルカリ・油などに耐性があるため、腐食やサビに強いのが特徴です。

<絶縁性や寸法安定性に優れている>
ほとんどのプラスチックは電気を通さないうえに、温度や湿度などの環境変化で大きく形状が変化することがありません。そのため、電気製品や電子部品に用いることが可能です。

<耐熱性に優れている>
熱を伝えにくい性質があり、特に発泡体は優れた断熱材として使用できます。

<酸素・水分・ガスなどを通しにくい>
酸素・水分・ガスを通しにくいため、食品を酸化や微生物の汚染から守ります。

<着色しやすい>
透明性が高く着色しやすいため、美しい見た目の製品を作れます。

<大量生産が可能>
成形加工が容易であるため、コストを抑えて大量生産できます。

 

・デメリット

<熱に弱い場合がある>
プラスチックの中には熱耐性が低いものもあり、熱によって変形してしまう場合があります。

<表面に傷がつきやすい>
金属や陶磁器に比べて表面硬度が低く、傷つきやすい特性があります。

<埃がつく>
帯電しやすいため、埃がついて汚れが目立つことがあります。

<溶剤に弱い>
プラスチックの種類によっては、アルコールやベンジン・シンナーなどによって溶けたり変色したりする場合があります。

 

■まとめ

プラスチック容器を使用する際は、それぞれのプラスチックが持つ特性を理解しておくことが大切です。その特性に反した使い方をすると、内容物に思わぬ悪影響を与える可能性もあるため注意しましょう。

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