【コラム】化粧品のバルクとは?意味と製造工程、売れる化粧品に重要なそのほかの要素を紹介
化粧品バルクという言葉を聞いたことはあるものの、イマイチ特徴が分からない、という方も多いのではないでしょうか。また、これから商品を出すことを検討しており、製造工程を詳しく理解しておきたい方もいるでしょう。
そこでこの記事では、化粧品バルクの製造工程を4つのステップに分けて詳しく解説します。
また、化粧品バルクを入れる容器の選定で決め手となる要素についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
バルクとは大きさ、容量などまとまったものを指す言葉です。化粧品業界で使われる化粧品バルクとは、製品となる前の化粧品の原料が混合された状態のものを指します。この段階では、ジェルやローションなどの製品はまだパッケージ化されておらず、容器やブランド名などのラベルが付いていない状態です。
化粧品バルクの段階品質テストや調整が行われたら、最終的な完成品に仕上げられる準備が整います。このように化粧品バルクは、安全に商品を届けるための非常に重要なプロセスです。
化粧品バルクの製造工程は、以下になります。
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化粧品バルクの製造工程の最初のステップは、原材料の準備と検査です。この工程では製品の品質と安全性を確保するために、使用する原材料の選定と検査が行われます。
製品の目的や機能に応じた成分を選び、それぞれの特性や配合バランスを細かく調整するのが目的です。原材料には、不純物や品質基準の確認を行う検査を実施します。
原材料の計量
次に行われるのが原材料の計量です。この工程ではあらかじめ決められた配合レシピに従い、必要な原材料を正確に測定します。
正確な計量が製品の品質や効果に直結するため、専用の計量機器を使用して慎重に作業が行われます。
このような工程により、バルクが製品として安定した品質を持つ基盤が整います。
計量された原材料を混ぜ合わせ、製品の中身を作る工程です。混合プロセスでは、専用の混合機や乳化機を使用して、成分を均一に分散させます。
例えばクリーム状のバルクでは、油分と水分を乳化させるための精密な温度管理と撹拌が必要です。この工程では、粘度や色、香りが規定どおりに仕上がるかを確認しながら作業が進められます。
すべての材料が均一に混ざることで、最終的に製品としての品質が決まります。
最後に、完成したバルクが基準を満たしているかどうかを確認するために、さまざまな検査が行われます。
例えば物性試験(pH値や粘度、比重などを測定)や外観のチェック、微生物に汚染されていないかの検査などです。これらのテストを通じて、安全性と有効性が確認されたバルクだけが次の包装工程へと進むことができます。
このような工程を徹底することで、消費者に届けられる製品の品質が保証されているのです。
化粧品バルクは化粧品を生産・販売する上で重要な要素ではありますが、一方売れる化粧品をつくるためには容器やパッケージ選びも重要になります。
ここでは化粧品バルクに合わせた容器の選定について解説いたします。
化粧品バルクはあくまでも「個別の容器に充填する前の化粧品の中身」なので、商品にするには必ず容器が必要になります。また、化粧品バルクの用途に応じて容器の重要性も高まります。
例えば、輸出する場合は、一般的なプラスチックの容器ではなくドラム缶などの大型容器に入れることがあります。一方で化粧品バルクを容器に充填し、そのまま店頭販売する場合は、デザイン性や品質担保などさまざまな要素を検討しなければなりません。
消費者は、化粧品を使うよりも前に容器を見ます。せっかくよい化粧品を生産しても、消費者に手に取ってもらえなければ、その化粧品のよさを知ってもらうことはできないのです。
また、化粧品バルクの性質によっても適切な容器は異なります。容器が消費者の購買意欲や化粧品バルクの品質維持を左右するため、容器について検討することは非常に重要です。
化粧品容器の選び方は目的に応じて異なります。材質・形状・デザインの組み合わせで、消費者に与えるイメージが変わってくるため、各要素についてよく検討することが大切です。
材質
一般的にガラスと樹脂の2種類があります。
ガラスは、中身の安定性を保ちやすい特徴があります。また、高級感を持たせることができる一方、配送における破損リスクが高いなどのデメリットも存在します。
樹脂は形状に幅が広く、加工もしやすいです。近年は、クリーンビューティーの概念からエコ容器なども増えてきています。デザイン性の幅も広く、さまざまな容器が作れるのが特徴です。
容器の形状
・穴栓容器
中栓容器は、一般的な化粧品に広く採用されている形状です。製造コストを抑えられるのがメリットですが、中身を取り出す際は容器をひっくり返す必要があり、やや利便性に欠ける点がデメリットとなります。
・ポンプ容器
ポンプ容器は利便性が高い容器ですが、使用する化粧品との相性が重要です。粘度が高い化粧品の場合、一部のポンプでは適切に吐出できないことがあります。そのような場合には、エアレス容器を選択することで解決が可能です。
・エアレス容器
エアレス容器は、真空状態を保つことで中身の品質を維持する仕組みになっています。プッシュ操作によってボトル底部のピストンが上昇し、中身が押し上げられる構造です。この特性により、粘度の高い化粧品でもスムーズに吐出が可能です。品質維持の面でも優れた選択肢となります。
・ジャー容器
ジャー容器は、クリームやジェル、パウダーなどさまざまな化粧品に使用される形状です。適量を使いやすく、デザイン性の自由度が高い点が特徴です。高級感や独自性を表現したい場合に適しています。
・デザイン性
容器のデザインは、製品の印象や購入意欲に大きな影響を与える重要な要素です。例えば、ツヤ感のある容器は明るく若々しい印象を、マット感のある容器は高級感を与えやすく、消費者の購入意欲を左右します。その中でも、シックで高級感のあるデザインや、色彩豊かで華やかなデザインなど、文字やフォントの選定も含めてさまざまな表現が可能です。
商品コンセプトやターゲット顧客に応じて、最適なデザインを選定することで、商品価値を高めることができます。
化粧品バルクは、個別の容器に充填される前の、化粧品の中身を指します。化粧品バルクは、製造段階で品質検査も実施され、品質と消費者の安全を担保する役割も担います。
化粧品を生産・販売する上では、化粧品を充填する容器について検討することも重要です。商品コンセプトやターゲットを踏まえた上で、消費者の購買意欲を引き出すデザインを考えましょう。