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2024年02月19日

【コラム】日本酒の容器の移り変わりとこれからの時代におすすめの容器

日本酒の容器の移り変わりとこれからの時代におすすめの容器

 

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日本酒の容器は、時代の変化や需要に伴い、さまざまな材質や大きさが開発・製造されてきました。今回は、日本酒の容器の変遷と多様化した素材、今後に期待されている容器について解説します。

 

 

■日本酒の容器の変遷

 

まずは、日本酒の容器の移り変わりを大まかに振り返ります。

 

・縄文~弥生時代

縄文時代初期の土器は、単純な装飾を施したシンプルな形状で、飲酒などに使用される容器は底の先が尖ったものばかりでした。中期には、注ぎ口がついたものや徳利(とっくり)の原型など、複雑な形が登場します。

弥生時代になると蓋付きの壺や甕(かめ)、鉢、高杯などが使われ始めますが、いずれも土から作られていました。また、うわぐすりがなかったため、中身がにじんでしまうほか、殺菌ができないことから酒質も変化してしまい、長期保存はできなかったと推測できます。

 

・大和(古墳・飛鳥)時代~奈良時代

古墳時代には、粒子が細かくて不純物の少ない粘土で作られた土師器(はじき)が登場します。その後、古墳時代中頃から、吸水性の低い須恵器(すえき)が作られるようになりました。これにより液体の貯蔵が可能となったため、酒づくりの規模は拡大していったと言われています。

 

・平安時代

広く使用されていた須恵器ですが、平安時代に入ると次第に衰退します。代わって登場したのは中国から持ち帰った技術で作られた陶器で、釉薬をつけた陶器や水差しなどが作られました。陶器が磁器に移行した時期ははっきりしていませんが、江戸時代のはじめとされています。

 

・室町~戦国時代

室町時代には、酒造りに三石和甕(約540L)を使っていました。その後、曲げものに比べて強度の高い「箍(たが)じめ技法」による樽や桶の製作が盛んになったことで、室町時代末期から戦国時代にかけて10倍以上の酒が仕込まれ貯蔵されるようになりました。

 

・江戸時代

江戸時代には酒の量り売りが主流になり、配達用の樽や一升の徳利に入れて、酒屋から家へと運ばれていました。酒を飲む際の器は、江戸時代の終わりまで漆器や陶磁器が一般的だったとされています。江戸時代には海外からもたらされた製造技術により、ガラス製品が登場しますが、高級品のため、庶民が手を出せるものではありませんでした。

 

・明治~昭和

明治34年頃からガラスの一升瓶が出回り始めます。瓶詰の日本酒が本格的に製造されるようになったのは昭和4~5年からですが、基本的には樽のほうが多く流通していました。しかし、戦後にはそれも逆転し、99%以上がガラスの一升瓶へと変わります。酒造りに使われる容器も、木桶から徐々にホーロータンクへと移行し、やがて酒は広範囲への流通が可能な時代に入りました。

 

・近年

ガラス瓶は価格が手頃で、長く使っても酒に影響しにくいのがメリットである一方、重くて割れやすいのがデメリットです。1977年、日本酒の新たな容器として紙パックが登場し、2005年には日本酒における紙パックの比率が過半数に達するまでになりました。現在、日本酒の容器は、仕込みにはホーロータンクを使用し、流通容器は紙パックやガラス瓶が主流となっています。

 

 

■日本酒の容器は多様性の時代へ

 

ここでは、日本酒を詰める容器の種類を紹介します。

 

・日本酒の容器の種類

 

現代は、以下のような素材が用いられています。

 

<木製容器>

鏡開きなど、5升以上の日本酒が必要な場合には樽詰めが珍重されます。しかし、木材のコストがかかるため、ステンレスやプラスチック、ガラスなどの容器に菰(こも)を外装するなどの試みが行われています。

 

<陶磁器>

徳利や盃などの多くには、陶器や磁器が使われています。また、高級酒の容器には有名窯の焼きものが使用されることもあります。

 

<ガラス容器>

ガラス瓶の容量は、一升瓶(1,800ml)、四合瓶(720ml)、二合瓶(300~360ml)、一合瓶(180ml)の4種類です。リサイクルしやすく透明性があり、酒の質を保ちやすいなど、日本酒に最適な容器とされています。

 

<プラスチック容器>

プラスチックは、日本酒用の容器として今後期待されている素材です。熱に弱く、特有のにおいがするといったデメリットもありますが、近年それらを克服する研究が進んでいます。

 

<金属容器>

日本酒の容器としての歴史は浅く、最初に採用されたのは昭和11年です。昭和30年頃から量産化されましたが、当時の金属容器は開けにくさや金属の溶出による酒質の変化が不評でした。その後、サビが出ず、再利用が可能なアルミを使った容器が開発されたことから注目されている素材です。

 

<紙容器>

昭和39年頃、紙にプラスチックラミネートを施した紙容器が登場しました。さまざまな容量に対応し、軽くて扱いやすいという点で重宝されています。ただし、品質保持の観点では、まだまだ改良の余地があると言えるでしょう。

 

・日本酒の外観がもたらすイメージ

2014年に日本ガラスびん協会が行なった「ガラスびん(容器)に関する意識調査」によると、消費者はガラス瓶に入った商品に対し、「高級感」「おいしそう」「こだわり感」などの印象をもっています。

また、2022年にマイボイスコム株式会社が行なった「日本酒に関するアンケート」では、よく買う容器の種類で最も多いのが720ml入りの瓶、続いて一升瓶の順であることがわかりました。

扱いやすさだけを挙げるなら、重くて割れやすいガラス瓶はとうの昔に容器の座を退いていたでしょう。しかし、外観からのイメージ結果からもわかるように、ガラスの容器に入った日本酒は消費者の購買意欲を刺激し、さまざまなシーンで活用できる容器として必要とされています。

 

・日本酒の容器開発は進んでいる

これまで日本酒の容器は見栄えがよいほか、信頼性があって環境にやさしいなどの理由から、ガラス瓶が多く利用されてきました。しかし今後は、その強みを継承しつつ、時代や実用性を反映し、消費者の購買意欲につながる新容器の開発が重要と考えられています。

 

おすすめの酒瓶については、こちらもご覧ください。

【コラム】おしゃれなボトルデザインの日本酒で見た目も味も楽しめる!おすすめの酒瓶も紹介

 

 

■これからの時代におすすめ!日本酒の容器

 

23/08-2-2

 

今後、一升瓶と共存するであろう日本酒の容器を紹介します。

 

・ペットボトル

紫外線や酸素による劣化を防ぐコーティングが開発され、ガラス瓶と変わらない品質保持が可能になりました。軽量なので持ち運びやすく、冷蔵庫で保管しやすいなどのメリットが挙げられます。紫外線を遮断しやすいように、専用のラベルが開発されており、安っぽさを感じさせないデザインも登場しています。

 

・四合瓶

四合瓶は約720mlの量です。昔は一升瓶が主流でしたが、家庭で日本酒を飲む機会が減ったことや、冷蔵庫内での保管場所が考慮された結果、四合瓶の流通量が増えました。

 

・パウチパック

パウチパックとは、レトルト食品をパッケージする際に用いられる密閉袋です。「パウチ自体の重量が軽い」「上部を折りたためる」「分別せずに捨てられる」などのメリットが挙げられます。2016年には、空気に触れない注ぎ口のタイプが開発されました。

 

 

■まとめ

今回は、日本酒の容器の変遷と使われる素材、新時代の容器について解説しました。手軽に日本酒を楽しむきっかけとして、日本酒の容器の発展にもぜひ注目してください。

斎藤容器はガラス瓶をはじめ、プラスチック容器や蓋、注ぎ口など、あらゆる容器を取り揃えています。容器のご相談、ご用命は斎藤容器におまかせください。

 

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