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2023年10月23日

【コラム】ペットボトルの素材のポリエチレンテレフタレートにはどんな特徴がある?

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ペットボトルの素材には、主にポリエチレンテレフタレートが使用されています。このポリエチレンテレフタレートには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

今回は、ポリエチレンテレフタレートの特徴について紹介します。

 

 

■ペットボトルの素材はどんなもの?

 

ペットボトルには、清涼飲料水や調味料など内容物に合わせた機能が必要です。そのため、柔軟に対応できる性質をもつプラスチック素材で製造されます。

          

・ペットボトルにはポリエチレンテレフタレートが使われている

ペットボトルの「ペット(PET)」とは、ポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate)の頭文字をとったもので、ペットボトルはその名の通り、ポリエチレンテレフタレートから作られた容器です。ポリエチレンテレフタレートは、製造方法や加工によって形状や強さ、耐熱性・耐圧性を変化させられる熱可塑性プラスチックで、石油由来のテレフタル酸とエチレングリコールを結合させて作られます。リサイクル方法は数種類ありますが、再生PET(RPET)として再利用される場合、4~5本のペットボトルでポリエステル素材のTシャツ1枚が生産可能です。

 

・ポリエチレンテレフタレートの歴史

ポリエチレンテレフタレート(PET)の歴史は、1941年にイギリスのキャリコプリンターズ社によって初めてその存在を発表されたことが始まりです。1953年にはアメリカのデュポン社がPETに関する特許を取得し、その後、10年以上の時を経てペットボトルが誕生します。日本でのペットボトルの生産は、1977年に発売されたキッコーマンの醤油の容器が最初です。1982年には食品衛生法が改正され、飲料水、炭酸飲料、果汁、お茶などさまざまな飲料に使用されはじめます。ペットボトルは軽量で割れにくいうえ透明性に優れているため、飲料や液体の保存や流通に適した容器として急速に普及しました。現在では、さまざまな形状やサイズのペットボトルが存在し、多くの企業がPETを使用して製品を提供しています。

 

・ペットボトルの製造工程

ポリエチレンテレフタレートは、射出成形とブロー成形という2段階のプラスチック加工によってペットボトルに形を変えます。

第1段階は、プリフォームと呼ばれる試験管のような円筒形の前駆体への成型です。加熱溶融させたポリエチレンテレフタレートを、高圧で金型内に射出して成形する工法・射出成形によって製造されます。

第2段階は、プリフォームを金型に挟み込んで口元から圧縮空気を吹き込むブロー成形です。プリフォームが膨らみ、ペットボトルの形状を作り出します。

 

 

■ポリエチレンテレフタレートのメリット

 

ポリエチレンテレフタレートは、ペットボトルや延伸フィルム、無延伸シート、繊維といった形状で使われることが多いプラスチックです。それぞれの形状になるまでの製造過程でポリエチレンテレフタレートの機能や性能が変化し、メリットも異なる場合があります。以下で主なメリットを見ていきましょう。

 

・耐熱性

延伸フィルムなどに使用される場合、通常は耐熱温度が約200°C近くまであります。ガラス繊維を配合して強化をした場合は、熱変形温度240°C、連続耐熱温度150°Cほどです。

 

・耐寒性

ガラス繊維を配合して強化をした場合は、およそ-60°Cまで耐えられます。

 

・透明性

ペットボトルを見てもわかるように、光をよく透過させる透明性に優れ、商品の見た目や品質を視覚的に確認することも可能です。

 

・耐薬品性

無延伸フィルムなどで使用する場合は、一般的な溶剤や薬品に対して高い耐性をもっています。ただし、すべての薬品や溶剤に対して完全な耐性があるわけではありません。

 

・耐水性

ポリエチレンテレフタレートは非常に密度が高く、水を通さない耐水性に優れています。

 

・絶縁性

汎用プラスチックに比べて高い電気絶縁性をもちます。(耐アーク性:90~120sec)

 

・環境面

ポリエチレンテレフタレートは、燃焼時に有毒なガスを放出しません。また、ペットボトルではリサイクルの仕組みが整っており、環境への負荷が比較的低い素材と言えるでしょう。

 

これらのメリットにより、ポリエチレンテレフタレートは容器業界などで、安全性、品質保持、持続可能性などの要求を満たす優れた素材として活用されています。

 

 

■ポリエチレンテレフタレートのデメリット        

 

前述した通り、ポリエチレンテレフタレートは、ペットボトルや延伸フィルム、無延伸シート、繊維といった形状になるまでの製造過程で機能や性能が変化します。そのため、形状の違いによってデメリットも異なります。以下で主なデメリットを見ていきましょう。

 

・耐熱性

フィルムなどに使用される場合を除き、耐熱性は高くありません。ペットボトルを例に挙げると、通常の耐熱温度は50°C、耐熱ボトルでも80°C程度です。

 

・耐薬品性

ペットボトルで使用する場合は、有機溶剤や薬品に対する耐性は低く、アルコールについては、濃度20%が限界です。

 

・耐酸性

ペットボトルで使用する場合は、非常に低く、食用酢程度が限界とされています。

 

・耐久性

機能性の高さが求められるエンジニアリングプラスチックとして使用する場合は、単体ではもろいため、ガラス繊維などで補強して耐久性を向上させる必要があります。

 

・透過性

透過性とは、気体や液体、溶質、イオンなどを透過させる性質のことです。ポリエチレンテレフタレートには、若干の気体透過性があるため、長期間の保存では内容物が酸化する可能性もあるでしょう。ただし、飲料用・調味料用のペットボトルでは、飲料の品質を保つ目的で内面をコーティングすることが一般的です。内面コーティングにより気体透過性が低下し、内容物の酸化や味の変化、香りや味の移りも防げます。

 

適切な用途や条件で使用することで、これらのデメリットを最小限に抑えることが重要です。

 

 

■ペットボトルは主に4種類に分けられる

 

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一般的にペットボトルは内容物によって、以下の4つの種類に分類されます。使用する際は、用途によって適したボトルを使い分けましょう。

 

・耐圧ボトル

果汁や乳製品を含まない炭酸飲料などのためのペットボトルです。炭酸ガスの圧力に耐えるために容器の壁面や底部を厚くし、強度を高めています。また、ボトルが自立できるようペタロイド(花びら)型と呼ばれる5つの花びらのような足が特徴です。

 

・耐熱圧ボトル

上記の耐圧ボトルの機能に加えて、高温に対する性能も備わっているペットボトルです。熱殺菌が必要な果汁や、乳製品を含む炭酸飲料などに利用されます。

 

・耐熱ボトル

高温で製造される非炭酸系の飲料用ペットボトルです。緑茶やウーロン茶、果汁飲料などは高温で製造された後、温かいまま充填・密封し殺菌されるため、ペットボトル自体に耐熱処理が必要になります。

 

・非耐熱ボトル

殺菌処理済みのミルク入り乳飲料を充填するためのペットボトルです。ペットボトル自体も無菌状態にされて飲料を常温で充填するため、耐熱ボトルで行われるような耐熱処理の必要がありません。

 

 

■まとめ

ペットボトルの素材であるポリエチレンテレフタレートや、ペットボトルの種類について紹介しました。ポリエチレンテレフタレートは、ペットボトルや延伸フィルムなど形状によってもメリット・デメリットが変わることがあります。使用する際は、それぞれの特性を確認してから適したボトルを選びましょう。

 

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