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2023年10月16日

【コラム】プラスチック容器の素材にはどんな種類がある?成分などについて詳しく解説

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プラスチック容器の素材には、さまざまな種類があります。プラスチックは熱可塑性と熱硬化性の大きく2つに分けられるうえ特徴が異なるため、製品に使用する際にはよく知っておく必要があります。今回は、プラスチック容器の素材について紹介します。

 

 

■プラスチック容器の素材について

 

プラスチック容器には、使いやすさや耐久性、安全性などを考慮した適切なプラスチック素材が選ばれています。まずは、素材となるプラスチックとはどのような物質なのかを見ていきましょう。

 

・そもそもプラスチックとは

プラスチックは、加熱すると軟化(一部は硬化)する性質があり、任意の形に成形できる有機高分子物質の総称です。開発当初からしばらくは石炭から造られていましたが、現在は石油が原料となっています。

 

・プラスチックは大きく2つに分かれる

プラスチックには100を超える種類がありますが、加熱後の性質の違いによって以下の2つに大別されます。

 

<熱可塑性プラスチック>

熱可塑性プラスチックは、熱を加えると軟化して成形しやすくなり、冷やすと固くなる性質があります。再加熱で再び軟化させられるので、リサイクルが可能です。

さらに、構造の違いから「結晶性プラスチック」と「非晶性プラスチック」に分かれます。結晶性は、分子が整然と規則正しく並ぶ結晶構造をもつプラスチックを指し、耐薬品性や耐摩耗性に優れているのが特徴です。一方、分子配置に規則性がない構造の非晶性は寸法精度がよく、透明度も高い特徴があります。

 

<熱硬化性プラスチック>

日本で生産される全プラスチックの約1割は、熱硬化性プラスチックです。熱硬化性プラスチックは、加熱していない状態ではやわらかく変形が可能ですが、熱を加えると固まる性質があります。ただし、一度固まると再加熱しても軟化しないため、再成形が難しく、現在リサイクルできる技術を開発中です。

 

 

■熱可塑性の汎用プラスチックの種類について

 

以下では、熱可塑性の汎用プラスチックの代表的な種類を紹介します。

 

・ポリエチレン(PE)

PEは、エチレンを原料(モノマー)とする結晶性プラスチックです。製造法によって密度が異なり、衝撃強度や耐寒性にも優れている低密度ポリエチレンや、強度・剛性が高い高密度ポリエチレンなど複数のグレードがあります。

 

・ポリプロピレン(PP)

PPには、プロピレンのみを重合させた剛性が高いホモポリマーと、2種類以上のモノマーを共重合にしたコポリマーがあります。PPのコポリマーは、少量のエチレンを加え透明性や柔軟性を上げたランダムコポリマー、ゴム成分を配合し耐衝撃性を高めたブロックコポリマーの2種類です。

 

・ポリ塩化ビニル(PVC)

塩ビと略されることが多いPVCは、塩化ビニル(塩ビモノマー)のポリマー(重合体)です。熱安定剤や可塑剤などの添加剤により、熱安定性や硬度・柔軟性を調整できます。

 

・ポリスチレン(PS)

PSは、スチレンを重合させて作られるプラスチックです。スチレン系樹脂には、非晶性で透明な一般用GPPSと、ゴム成分を加えた乳白色の耐衝撃用HIPS、ポリスチレンの性質を改良したAS樹脂の3種類があります。

主要用途に発泡製品があり、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)は、食品トレー、住宅の断熱材、緩衝材などに使われています。

 

・ABS樹脂(ABS)

ABSは、スチレン系のAS樹脂にゴム成分であるポリブタジエンを加え、改質したプラスチック(ポリマーアロイ)です。配合の割合によって流動性や衝撃強度を変えられ、化学めっきできる特徴があります。

 

・メタクリル樹脂(PMMA)

一般的にアクリル樹脂と呼ばれるPMMAは、全光線透過率約92%と透明性に優れ、比較的強い耐衝撃性も兼ね備えたプラスチックです。主に、割れやすいガラスの代替材料としても使われています。

 

 

■熱可塑性の汎用エンジニアリングプラスチックの種類について

 

明確な定義はありませんが、100度以上の耐熱性のあるプラスチックを「汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)」と呼びます。代表的な汎用エンプラの種類は、以下の通りです。

 

・ポリアミド(PA)

PAは、アミド結合によって形成されるポリマーです。ナイロンと呼ばれることもありますが、ナイロンはもともとデュポン社の商標(商品名)であったのが一般化されたもので、厳密には、ポリアミドの一種がナイロンに該当します。

 

・ポリアセタール(POM)

POMは、主鎖がエーテル結合によって形成されるポリエーテルです。原料は、ホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)から作られています。白色で透明性がなく、耐衝撃性や耐摩耗性、機械的性質に優れたプラスチックです。

 

・ポリカーボネート(PC)

PCは、ビスフェノールAを主原料として作られるポリエステル樹脂です。透明で耐衝撃性や耐熱性、寸法安定性に優れ、自己消火性をもつなどの特徴があります。特に、強度はアクリルの約30倍といわれており、割れにくさはプラスチックの中でも最高クラスです。

 

・変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)

PPEは、2,6-ジメチルフェノールを主原料にして作られるポリエーテル樹脂です。PPE単独では成形が難しいため、他のプラスチックとアロイ(※)にし、m-PPEと化します。成形性の優れた耐衝撃性ポリスチレンHIPSと混合されることが多い樹脂です。

※プラスチックや樹脂などの高分子材料を2種類以上ブレンドすること

 

・ポリブチレンテレフタレート(PBT)

汎用エンプラの中でも需要の高いポリブチレンテレフタレートは、ガラス繊維で強化して用いられるのが一般的です。電気的特性に優れていることから、自動車や電機・電子の部品などに使用されます。

 

・ポリエチレンテレフタレート(PET)

PETは結晶性ポリエステル樹脂に分類されるものの、結晶化が非常に遅いため、非晶状態で使用されるのが一般的です。結晶化した後に比べ、非晶状態のPETはやわらかく透明度が高いため、ペットボトルやたまごの容器などにも使われています。

 

 

■バイオプラスチックについて

 

バイオプラスチックとは、使用後に分解されて自然に還る「生分解性プラスチック」と、生物由来の資源を原料とする「バイオマスプラスチック」の総称です。

 

・生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、微生物などによって最終的に水と二酸化炭素に分解され、自然に還るプラスチックです。ごみとして焼却して処理する必要がないので、環境にやさしいプラスチックとして注目を集めています。

以前は、グリーンプラという愛称で呼ばれロゴマークにも採用されていました。しかし、植物由来のプラスチックと混同されやすいため、2020年以降、製品表示は「生分解性プラマーク」への切り替えが進んでいます。

 

・バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビ、トウゴマなどの植物が原料で、植物由来プラスチックとも呼ばれています。

植物は再生可能な資源であるため、石油などのように資源の枯渇を心配する必要がありません。また、CO2削減にも効果があるとされ、バイオプラスチック代替に補助金が受け取れるケースもあります。

 

 

■まとめ

プラスチック容器の素材であるプラスチックについて紹介しました。プラスチックには、熱可塑性や熱硬化性、結晶性、非晶性といった分類があり、原料もさまざまです。製品に使用する際には、それぞれの特性などを確認し適切なものを選んでください。

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