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2023年09月04日

【コラム】レトルトパウチ包装とはどんなもの?特長について紹介

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レトルトパウチ包装は、食品や飲料などを保存・加熱調理するためのパウチ袋で、アメリカで生まれた技術です。密封性・再封性・利便性・デザイン性があり、特にレトルト殺菌によって長期保存が可能になっています。

この記事では、レトルトパウチ包装の概要と特長のほか、レトルト殺菌について解説します。

 

 

■レトルトパウチ包装とは

 

レトルトパウチ包装とはどのようなものを指すのか、まずは素材や歴史について紹介します。

 

・レトルトパウチ包装とはどんなもの?

レトルトパウチ包装とは、パウチに食品や飲料などを詰めて密封した後、加圧加熱殺菌を行なった包装のことです。中身が無菌状態になるため、缶詰のように常温の中でも長期保存ができます。

パウチはガスや光を遮断し中身の劣化を防ぐ性質がありますが、軟包装のうち、袋状のものをパウチ包装と呼んでいます。

 

<軟包装とは?>

軟包装とは、紙やプラスチック、アルミ箔などの素材を使った包装のことです。軽くてやわらかいため、加工がしやすいでしょう。主に食品や洗剤、化粧品などさまざまな商品に使われています。

 

・レトルトパウチ包装の素材

レトルトパウチは2種類以上の素材を使った多層構造になっており、アルミ箔を使用したものと透明フィルムを使用したものに分けられます。

主な素材は、以下の通りです。

 

    ポリエチレン(PE)

    ポリプロピレン(PP)などのプラスチック

    アルミ箔

    蒸着(じょうちゃく)フィルム

 

これらの素材を貼り合わせることで、耐水・耐熱性やガスバリア性、防湿性、遮光性などの機能を補完しています。

 

・レトルトパウチ包装はアメリカで生まれた

1950年代、アメリカで缶詰の重さや空き缶の処理問題を解決するため、軍事用にレトルト食品の開発が始まりました。その後1959年には、試験的にレトルトパウチ食品が製造されはじめます。

そして1969年、宇宙船アポロ11号に宇宙食として採用されたことを機に、多くの食品メーカーから注目されるようになったのです。しかし、アメリカではすでに冷凍食品が普及していたため、レトルトパウチ包装の商品は市販に至りませんでした。

一方、当時冷凍設備が整っていなかった日本では、レトルトパウチ包装に目が向けられ、世界で初めて市販されたレトルト食品である『ボンカレー』が誕生します。

その後、レトルトパウチ包装は進化を続け、現在では常温で長期保存が可能な包装袋としてさまざまな企業で利用される人気商品となりました。

 

 

■レトルトパウチ包装の特長について

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レトルトパウチ包装には、主に4つの特長があります。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・密封性

レトルトパウチ包装の特長は、熱の力でフィルム同士を接着させる優れたシール技術による高い密封性です。中身が漏れる心配がないのはもちろん、密封によって酸化しにくく、食品の劣化を防げます。

さらに、密封した後に加圧加熱殺菌を行うことで中が無菌状態になるため、常温での長期保存が可能です。

 

・再封性

スパウト(注ぎ口)付きのパウチは再封性が高く、必要なときに必要な分だけを取り出すことが可能です。開封後も中身を劣化させることなく保存可能なため、食品や洗剤だけでなくワインなどのアルコール飲料にも利用されています。

 

・利便性

軽量でやわらかく、加工がしやすいレトルトパウチ包装は、バリエーションが豊富なうえ利便性の高い包装です。持ち運びしやすい持ち手付きのタイプ以外にも、そのまま電子レンジで温められたりパウチを容器として使えたりするなど、使いやすさを追求したさまざまなパウチ包装があります。

 

・デザイン性

レトルトパウチ包装は、平袋やスタンデジングパウチなど、大きさ、形、機能性などが選択できます。デザイン性の高さが魅力で、内容物に合わせてオリジナルのパッケージが作れるため、陳列時のアピールや他社との差別化によって、商品の価値を高める効果が得られるでしょう。

 

 

■レトルトパウチ包装のレトルト殺菌について

 

ここでは、レトルト殺菌について詳しく解説します。実際に行う際の参考にしてください。

 

・レトルト殺菌とは

もともと、レトルトとは加圧加熱殺菌をする釜を指す言葉でした。そこから、調理された食品を気密性・遮光性のある容器や袋に入れて密封し、熱と圧力をかけて殺菌することをレトルト殺菌と呼ぶようになりました。

水を加熱しただけでは100°Cまでが限界ですが、圧力をかけると100°C以上の高温で加熱処理が可能になります。そのため、耐熱性のある微生物も死滅させることが可能です。

レトルト殺菌の条件は、食品衛生法で次のように定められています。

 

  1. 原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生物を死滅させるのに十分な効力を有する方法であること。
  2. そのpHが4.6を超え、かつ、水分活性が0.94を超える容器包装詰加圧加熱殺菌食品にあっては、中心部の温度を120°Cで4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。

 

※pH:酸性・アルカリ性の強さを表す数値

※水分活性:食品中で微生物が生育するために利用できる水分の割合

引用:容器包装詰加圧加熱殺菌食品

 

・レトルト殺菌とボイル殺菌の違い

ボイル殺菌は、包装した食品を100°C未満の湯の中に入れて湿熱殺菌する方法で、100°C以上の高温になると風味の劣化がみられる食品に適しています。

しかし、重大な食中毒を引き起こすボツリヌス菌には高い耐熱性があり、ボイル殺菌では死滅しません。そのため、ボイル殺菌はボツリヌス菌が生育できないpHや、水分活性が低い食品の場合に有効です。

レトルト殺菌は、100°C以上の蒸気や加圧熱水を利用して殺菌する方法のことで、ボツリヌス菌などの耐熱性のある菌まで殺菌できます。高温で加熱するため、ボイル殺菌に比べて殺菌時間が短く、食品の風味や栄養が損なわれにくいのもポイントです。

 

・レトルト殺菌はなぜ重要?

レトルト殺菌は、ボツリヌス菌による食中毒を防ぐために有効な方法です。ボツリヌス菌は強力な毒素をもっており、食中毒が発生した際に適切な治療を受けなければ致死率が30%を超えると言われています。そのため、ボツリヌス菌が生育できるpH4.6以上でかつ、水分活性が0.94を超える食品は、食品衛生法によりレトルト殺菌をすることが定められています。

 

・レトルト殺菌に必要な装置

レトルト殺菌には、レトルト殺菌装置やレトルト釜などの専用の装置が欠かせません。

100°C以上で加熱した場合、冷却時に袋内の圧力が高まると破裂する恐れもあるので、加熱時以上に加圧して圧力を調整しながら冷却する必要があります。そのため、温度・時間・湿度を精密に調整できる装置が必要です。他にも、パウチ袋に内容物を詰めて封をする充填シール機や、高温に耐えられるレトルトパウチなどを用意してください。

装置を揃えるにはコストがかかることから、レトルト殺菌を他社へ委託する方法も選択肢に入れて検討しましょう。

 

 

■まとめ

レトルトパウチ包装とは、気密性・遮光性のある袋に食品を詰めて密封し、加圧加熱殺菌をした包装のことです。耐熱性のあるボツリヌス菌も死滅させられるため、食品を安全に保存できます。また、デザイン性や利便性が高くバリエーションも豊富なので、オリジナルパッケージを検討している方にもおすすめです。

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