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2023年08月28日

【コラム】ガラスにはどんな特徴がある? 製造方法や主なガラスの種類についても解説

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ガラスは、その特殊な構造から、非常に安定した性質をもつ物質です。また、ガラスにはいくつかの種類があり、特徴はそれぞれ異なります。

今回は、ガラスの特徴について、製造方法や種類を解説します。

 

 

■ガラスの基本的な特徴

 

ガラスの歴史は意外にも古く、紀元前数千年前までさかのぼり、天然ガラスである黒曜石を刃物や矢じりに使ったのが最初と言われています。紀元前16世紀頃になり、人類はガラスを人工的に作りだす方法を導き出しますが、現在主流の宙吹きと呼ばれる吹きガラスが発案されたのは紀元前1世紀頃のことです。やがて、耐熱性の容器である「坩堝(るつぼ)」が登場すると、ガラスの製造技術は格段に上がり、現代のようなさまざまな種類のガラスが作られるようになりました。

そのため、ガラスの本質が知られるようになったのは今世紀に入ってからです。ガラスには他の固体にはない、いくつもの優れた特徴があります。まずはガラスの構造や特徴を知り、理解を深めていきましょう。

 

・そもそもガラスとは

ガラスは、結晶構造をもたない「非晶質」の固体です。そのため、結晶質である金属やセラミックスなどの固体とは全く異なる構造をしています。結晶質とは、物質が液体から固体になる過程において、原子が規則正しく配列されて平衡状態となる性質のことです。一方、ガラスなどの液体の粘度が高い物質の場合、温度の低下速度が原子の再配列するスピードを上回り、ランダムな構造をとってしまいます。非平衡のまま液体が過冷却され、固体となるものが「アモルファス(無定形)」と呼ばれ、現在ガラスの基本的な構造として知られています。

 

・透明

ガラスの大きな特徴として、透明であることが挙げられます。物体が透明であるためには、「可視光を吸収しないこと」が条件ですが、ガラスの主成分となるSiO2(二酸化ケイ素)は可視光を吸収しません。また、「可視光を散乱しないこと」も透明である条件です。

ガラスは非晶質であり、散乱の原因となる結晶粒界がないため、2つの条件を満たしていることが証明できます。

 

・成形しやすい

ガラスは、温度上昇に伴い粘度が連続的に変化するため、温度のコントロール次第で加工が容易になります。つまり、延伸やプレスなどの加工方法に合わせて粘度を変え、成形しやすいやわらかさに調整できるということです。

 

・安定している

ガラスは他の固体に比べて、化学的に安定しているという特徴があります。というのも、ガラスの主成分であるSio2は、有機溶媒や酸に対しても優れた耐性があるためです。また酸化物であるガラスは、高温でもすぐに分解・溶解されることはありません。寸法安定性や信頼性が高く、長期間の使用が可能です。

 

・組成変化に強い

ガラスは組成変化に強く、さまざまな物質が混入している場合でも、ガラスとして成立することがほとんどです。そのため、着色はもちろん、他の化学物質を加えて特殊ガラスに加工もできます。

 

 

■ガラス瓶の製造工程

 

現在の製造技術では、宙吹き以外にも延伸やプレスなどの成形方法が可能になり、原料の配合から製品検査まで、すべて機械により自動化されています。ここからは、ガラスへの理解をさらに深めるため、ガラス瓶の製造工程を確認していきましょう。

 

・①原料の調合・溶解

ガラス瓶の原料は、40~60%以上が回収後のガラス瓶を細かく砕いたカレットであり、そこに珪(けい)砂やソーダ灰などの主原料、着色するための副原料を加えて調合されます。調合された原料は、約1500~1600°Cの溶解炉でドロドロに溶かされます。これがガラスです。

液状のガラスは、成形に適した温度(約1150°C)にまで調整され、ゴブ(Gob)と呼ばれる瓶一本分の塊にカットした後、成形機に送られます。

 

・②成形

成形工程は、主に粗型工程と仕上型工程に分かれ、1台の機械で最大約600本の瓶が成形されます。粗型工程では、空気を送り込むブロー方式または圧力をかけるプレス方式によって、ゴブをおおまかな瓶の形にします。

 

ブロー方式:主にビール瓶やワインボトルなどの細口瓶に使われる方法

プレス方式:ジャムなどの広口瓶で用いられる方法

 

こうして瓶の原型に成形されたガラスをパリソンと呼び、仕上型工程により最終的な瓶の形に仕上げます。

 

・③徐冷

徐冷工程では、成形したガラス瓶をレヤーという徐冷炉に送り、約600°C~常温に至るまで段階的に冷却します。成形直後の瓶は非常に熱く、急激に冷やしてしまうと歪(ひずみ)が生じたり割れたりする恐れがあります。十分な強度を確保するためにも、時間をかけてゆっくりと徐冷することが肝心です。

 

・④検査・梱包

徐冷後のガラス瓶は、検査機や人の目で厳重にチェックされます。口径やビリ(細かいヒビや割れのこと)、アワ、異物、しわなどの有無を確認し、問題なければ梱包・出荷することが可能です。

 

 

■主なガラスの種類

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ガラスは種類によって、さまざまな用途や目的に使われています。最後に、主なガラスの種類について紹介します。

 

・酸化物ガラス

酸化物ガラスとは、ガラスの主成分となるシリカ(SiO2)に酸化物を加えて作った特殊ガラスです。私たちが普段目にするガラスの多くを占めており、ケイ酸塩ガラスとして流通しています。

 

・非酸化物ガラス

非酸化物ガラスは、「カルコゲン化物ガラス」「ハロゲン化物ガラス」などの酸化物を使用していないガラスです。カルコゲン化物ガラスは、硫黄、セレン、テルルなどの化合物を使っており、赤外光の透過性が高く、光電効果があります。主に、赤外線透過材料や半導体スイッチング素子に用いられるガラスです。

一方、ハロゲン化物ガラスはフッ素、塩素、臭素などの化合物を使い、赤外透過性の高さに加え、フォノンエネルギーが小さいという特徴をもちます。赤外線透過材料以外にも、希土類イオンのホストで使用されています。

 

・結晶化ガラス

ガラスの製造過程において結晶を析出させることで、ガラス単体では実現できない特性をもたせたものが結晶化ガラスです。結晶化ガラスには、雲母のへき開性を利用したマシナブルガラスと、露光により一部を結晶化させる化学切削ガラスがあり、いずれも通常の柄では困難な切削加工を可能にしています。

 

・耐アルカリガラス

耐アルカリガラスは、ケイ酸塩ガラスにジルコニア(ZrO2)や酸化チタン(TiO2)などの酸化物を添加した特殊ガラスです。通常のガラスはアルカリに対して非常に弱く、pH9以上で溶解してしまいますが、耐アルカリガラスはアルカリへの耐食性がある物質を調合することでこの欠点を補っています。つまり、pH12以上の強アルカリ性であるセメントにも複合が可能ということです。他にも、ガラス繊維強化セメント(GRC)などに用いられています。

 

・多孔質ガラス

多孔質ガラスは、組成変化の過程で分相したNa2O-B2O3相を化学的に溶解・除去することにより、いくつもの微細な空隙構造を可能にしたガラスです。数nm~数μmの貫通細孔が無数に点在した高ケイ酸質であるため、耐熱性・耐化学性に長けています。主に、分離膜や無機触媒、酵素の担体に使われています。

 

 

■まとめ

ガラスは私たちの生活に欠かせないものであり、今後もさまざまな場面で活用が期待されています。ガラス瓶を商品として利用したいとお考えの場合は、ぜひ斎藤容器にお問い合わせください。

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