【コラム】瓶の着色加工にはどんな塗料や塗装方法が使われる?
ガラスなどの瓶には、着色加工を施せます。使用する塗料や塗装方法にはいくつかの種類があるため、どのようなものがあるかしっかりと把握しておくことで、理想の加工を施すことが可能です。
今回は、瓶の着色加工について紹介します。塗料や塗装方法を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
ガラス瓶の着色加工に使用される塗料には、さまざまな種類があります。使用する塗料によって全く異なった仕上がりになるため、仕上げたいイメージに合わせて塗料を選ぶことが大切です。着色加工を行う前に塗料の種類や特徴などをしっかり確認して、どの塗料を使用するか決めておきましょう。
・着色塗料
着色塗料は、瓶に着色するためのベースとなる塗料です。カラーバリエーションが豊富なうえ、異なる色同士を調合することでさまざまな色を作り出せるため、色にこだわりたい場合にも適しています。着色塗料単体で加工を行うことも可能ですが、質感を変化させる塗料を調合することで、さらに細かいニュアンスを表現可能です。
・パール
パールは、文字通り真珠のように微細な光沢を与える塗料です。製品によって粒子の大きさが異なるため、完成させたいイメージに合わせて選ぶとよいでしょう。また、調合して光沢を変化させることも可能です。光沢を際立たせたい場合は大きめの粒子を、落ち着きのあるイメージにしたい場合は細かめの粒子を選ぶなど、商品のコンセプトに合わせて調節できます。
・マット
着色塗料と合わせて使用することで、ツヤ消し効果が得られます。ガラス瓶や塗料特有のツヤ感を消し、フロストガラスのような質感に変化させることが可能です。好みの塗料に合わせることで、色の印象を和らげながら中身の透けない見た目に仕上がるでしょう。優しい雰囲気を演出したい場合にも、おすすめの塗料です。
・クリアコート
クリアコートは無色透明な塗料です。着色を目的として使われるものではなく、主に塗装強度を高めるために使用されます。着色加工を行う際のベースコートやトップコートに用いられることが多く、クリアコートにUVカット剤を合わせることで、紫外線から内容物から守ることも可能です。クリアコートは着色加工のためではなく、機能面の補助に特化した塗料と言えるでしょう。
・メタシャイン
メタシャインは高輝性無機顔料で、ラメ感を際立たせたい場合に使用される塗料です。フレーク状にしたガラスの表面に金属酸化物などをコーティングして作られており、パールよりも粒子の光沢感があります。ガラスを基材としていることからラメ自体の透明度も高く、純粋な光の発色を楽しめるでしょう。また、乱反射が少なく輝きを可視しやすいため、ガラス瓶に高級感のある華やかな印象を与えられます。
・ミラー
ミラーも高輝性顔料の一つですが、主にキャップの塗装でよく使用されています。ミラー材を薄く均一にスプレー塗装することで、表面が鏡のように仕上がるでしょう。ミラー材を使用することで素材にツヤ感と重厚感が出るため、高級ラインの化粧品など洗練されたイメージに仕上げたい製品にもおすすめです。
・カラーストリーム®
カラーストリーム®は、見る角度によってさまざまな色に反射する偏光顔料です。基材には人工シリカフレークが使用されており、酸化チタンや酸化鉄のコーティングを行うことで、当たる光の角度に変化を生み出します。カラーストリーム®で着色加工を行えば、ガラス瓶にオパールのようなグラデーションのある光沢に仕上げることが可能です。インテリア性の高い見た目になることから、ガラス瓶そのものにも商品価値を与えることができるでしょう。
着色加工の塗装には、主に2つの方法が用いられます。それぞれの違いを確認しておきましょう。
・静電塗装
静電塗装は、静電気の力を利用した塗装方法です。帯電させた塗料を密閉空間に噴射して、瓶の表面に誘電しながら塗装を行います。全体的にムラなく塗装できることや、塗料ロスを抑えられるところがメリットです。
・スプレーガン塗装
スプレーガン塗装は、塗料を直接スプレーガンで吹きつけて塗装を行う方法です。グラデーションなど細かいニュアンスを表現するのに適していますが、仕上がりをよくするためには技術が必要になります。
着色加工に使用する塗料が決まったら、次は塗装を決める必要があります。見栄えや質感にも直結するため、種類は慎重に検討しましょう。塗装の種類を以下にまとめたので、参考にしてみてください。
・グラデーション塗装
グラデーション塗装は、塗料を付着させる量を変化させることで色合いに濃淡をつける塗装です。塗装を行うものに対して均一に塗料を付着させるのではなく、薄くする部分と濃くする部分で塗料の付着量を変化させます。単色であってもチープな印象にならず、繊細なイメージに仕上げることが可能です。また、異なる色をかけ合わせることもできるほか、色の組み合わせによってさまざまなイメージを表現できます。
・びん底塗装
びん底塗装は、底面のみに着色加工を施す技術です。特性として、透明度の高い液体を入れることで、光の屈折効果により底面の色が液体部分に反射して見えます。底面の色が反射することで、瓶全体を淡く色づいたように見せることが可能です。瓶の底にのみ着色されていますが、実際は瓶全体にクリアコートが施されています。
・フロスト調塗装
フロスト調塗装は、フロストのようなくもりガラス状の表現をする塗装です。塗装表面に細かい凹凸をつけることで、フィルターをかけたような見た目に変化します。また、さらっとした繊細な手触りにも特徴があり、高級感を演出したい場合にもおすすめです。フロスト加工は塗料の付着をよくする効果もあるため、塗装の下準備としてもよく用いられています。
・ソフタッチ塗装
ソフタッチ塗装は、やわらかい膜を張ったような質感になるのが特徴です。一見、フロスト調塗装と同じように見えますが、さらりとした質感のフロスト調塗装とは異なり、ゴムのように摩擦の強い質感を演出できます。ガラス瓶に使用するとグリップ力が増すため、滑り止めとしても使用することが可能です。
瓶の着色加工をする際には、使用する塗料の特性をよく理解しておくことが大切です。製品のイメージに合わせて、使用する塗料を慎重に選びましょう。また、色合いだけでなく質感にもこだわることで、さらに細かいニュアンスを演出できます。瓶のデザインは製品に対する印象も大きく変えるため、塗装方法は比較・検討しながら適切な塗装を選びましょう。