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2022年11月14日

【コラム】プラ新法(プラスチック資源循環促進法)とはどんな法律? 飲食店に与える影響とは

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2022年から施行されたプラ新法(プラスチック資源循環促進法)によって、プラスチック製品の削減が求められることとなりました。このプラ新法によって、飲食店はどのような影響を受けることになるのでしょうか。今回は、プラ新法が与える飲食店への影響について解説します。

 

■プラ新法(プラスチック資源循環促進法)とは?

以下では、2022年から施行されたプラ新法の概要と成立の背景を紹介します。

・どんな法律?

プラ新法は、プラスチックの資源循環(3R+Renewable)を実現するための法律です。
プラスチックの使用方法や廃棄方法だけではなく、プラスチック製品の設計にも焦点を当て、プラスチック使用製品のライフサイクル全体で、資源の循環を促進するような措置が定められています。
対象事業者は、国が「特定プラスチック使用製品」として定めた12品目を提供するスーパーやコンビニ、ホテルなどです。

・成立の背景

現在、世界中では気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などのさまざまな環境問題に対する取り組みが行われています。
それを契機として、日本国内でもプラスチックの資源循環を促進する重要性が高まっており、プラスチックの資源循環体制を包括的に強化するために、2022年4月にプラ新法が施行されました。

・プラ新法の5つの措置事項について

以下では、プラ新法の5つの措置事項を解説します。

<環境配慮設計指針の策定>

環境配慮設計指針が策定され、製品が指針に適合していることを認定する仕組みが設けられました。これにより、プラスチックを取り扱う製造事業者には、この指針に沿った設計や製造が求められます。
認定製品はグリーン購入法上の配慮とともに国が率先して調達し、リサイクル材の利用に必要な設備への支援が行われるでしょう。

<ワンウェイプラスチックの使用の合理化>

飲食店やコンビニなどで提供される「ワンウェイプラスチック」を削減する仕組み作りが設けられました。
ワンウェイプラスチックを提供している事業者は、国が定めた判断基準をもとに提供方法を見直す必要があります。
具体的には、フォークやスプーン、ストローの木製化や有料化などです。

<市区町村の分別収集・再商品化の促進>

「容器包装リサイクル法(容リ法)」の法律を活用した再商品化が可能になります。
市区町村と再商品化事業者が連携して行う再商品化計画を作成し、主務大臣によって認定されると、再商品化事業者は市区町村による選別・梱包などを省略して再商品化を実施することが可能です。

<製造・販売事業者などによる自主回収の促進>

プラスチック製品を取り扱う製造・販売事業者が、使用済みのプラスチック製品を自主回収・再資源化する計画書を作成します。
回収・再資源化を的確に行なっている事業者には規制緩和措置が適用されるため、プラスチックの循環利用が可能です。

<排出事業者の排出抑制・再資源化の促進>

排出事業者は再資源化計画を作成し、排出抑制や再資源化などの取り組むべき判断基準をもとに取り組みを行なっていきます。
主務大臣に認定された場合は、認定事業者の廃棄物処理法の業許可が不要です。

 

■プラ新法が飲食業界に与える影響とは?

プラ新法が飲食業界に与える主な影響を解説します。

 

・飲食店に特定プラスチックの削減が義務化された

国が特定プラスチック使用製品として定めたフォークやスプーン、ストローなどの削減が義務化されました。
具体的には、無料で提供を行なっていたプラスチック製品の有料化や紙製・木製へ変更などが求められています。

・義務に従わない場合の措置・罰則とは

プラスチック製品削減のための対策を行わない店舗は、国から指導・勧告・改善命令などを受けることになるでしょう。
指導・勧告・改善命令などに従わずに違反を繰り返した場合には、50万円以下の罰金が科されるため、注意が必要です。

 

■今後飲食店が取り組むべきプラスチックの削減に関する対策

先述の通り、特定プラスチックの削減が義務化されたため、飲食店にはさまざまな対策が求められます。
以下では、今後飲食店が取り組むべきプラスチックの削減に関する対策を3つ紹介します。

・使い捨てフォーク・スプーンを紙製や木製のものに変更

使い捨てのフォークやスプーン、ストローなどを紙製や木製のものに変更することが求められます。
しかし、紙製や木製はプラスチックよりもコストが高く、なかなか導入が進んでいないのも現状です。

・容器の素材をプラスチックから自然素材に変更

容器の素材を「バイオマスプラスチック」のような、生物由来の資源を原料にしたプラスチックに変更する方法もあります。
バイオマスプラスチックとは、トウモロコシやサトウキビなどの植物由来の原料を利用して作られたプラスチックで、燃やしても大気中の二酸化炭素の増減に影響を与えません。
容器をバイオマスプラスチックに置き換えると、環境負荷の低減につながります。

・ペーパーカップの導入

ドリンクを提供するカップを、ペーパーカップに変更する飲食店も増えています。
ペーパーカップにアイスドリンクを入れると結露で紙がふやけてしまうという問題がありますが、スターバックスはカップの内側と外側にラミネート加工を施すことでこの問題を解決しました。
ホット・アイス兼用のペーパーカップを製造しているメーカーも増えてきており、今後さらなる導入が期待されています。

 

■企業による実際の取り組み事例

以下では、企業によるプラスチック削減に向けた取り組み事例を3つ紹介します。

・スターバックス

スターバックスは2020年1月にプラスチックストローから紙ストローへの変更を開始しましたが、現在ではさらに一歩踏み込み、カップの蓋の飲み口を広くすることでストロー自体の使用量を大幅に削減しています。
ストローの削減とペーパーカップの使用により、スターバックスは年間約6,700万杯分のプラスチックカップとストローの削減につながると見込んでいます。

・マクドナルド

マクドナルドは2016年よりすでにアイスコーヒーのカップをプラスチックから紙に変更しており、紙カップには適切に管理された森林の木材を使用して作られた「FSC認証紙」を使用しています。
お持ち帰り用の袋も紙袋を使用しており、2018年からは1ドリンクのみを入れるプラスチックバッグを導入しました。
2022年2月からは横浜エリアの一部店舗にて紙ストロー、木製カトラリーの導入を始め、プラスチック削減のためにさまざまな取り組みを行なっています。

・シャトレーゼ

シャトレーゼは2021年4月にプラスチックスプーンの有料化(1本2円)に踏み出しました。
木製スプーンも1本2円に有料化しており、2030年までにプラスチック製品を50%削減することを目標としています。

 

■まとめ

プラ新法は、プラスチックの資源循環(3R+Renewable)を実現するための法律です。
対象事業者は、国が特定プラスチック使用製品として定めた12品目を提供するスーパーやコンビニ、ホテルなどで、プラスチック製品を紙製や木製に変更したり容器をバイオマスプラスチックに置き換えたりなどの対策が求められます。
プラスチックを削減して地球環境を守るためにも、すでにプラスチック削減に向けての取り組みを行なっている企業を参考に対策をしていきましょう。

 

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