【コラム】日本酒の瓶のラベルにはどんな種類がある?表示内容についても解説
日本酒の瓶には必ずラベルが貼られていますが、そのラベルにもいくつか種類があります。また、ラベルの表示については表示義務がある内容も定められているため、きちんと把握しておきましょう。今回は、日本酒の瓶のラベルについて解説します。
日本酒の瓶に貼り付けられているラベルの種類は、「肩ラベル」「胴ラベル」「裏ラベル」の3種類です。
以下では、それぞれのラベルの特徴と主な印刷方法、使用されている素材について解説しますので、ぜひラベル作成の参考にしてみてください。
肩ラベルの特徴と主な印刷方法、使用されている素材は以下の通りです。
<ラベルの特徴>
肩ラベルは、日本酒の瓶の上部に貼ります。
季節品や限定品に貼られていることが多く、肩ラベルの形状は、正方形や円形、扇形などバラエティ豊かです。
胴ラベルや裏ラベルに書かれていない情報や、銘柄のアピールポイントなどを肩ラベルに記載すると、商品の特徴やブランドのイメージを効率よく訴求できます。
<主な印刷方法>
肩ラベルの主な印刷方法は、墨1色で書いた「筆文字」や金や銀の「箔押し加工」、リオトーン印刷専用のインキを使用して印刷する「リオトーン加工」などがあります。
筆文字はシンプルにまとめたい場合に、箔押し加工はきらびやかな印象を与えたい場合におすすめの印刷方法です。
リオトーン加工は、視覚的にはもちろん、手触りによる立体感を感じることもできるため、文字や画像を目立たせることができます。
<主なラベルの素材>
肩ラベルの主な素材は、和紙と金・銀ツヤホイル紙です。
肩ラベルと胴ラベルの素材を合わせると統一感が生まれ、あえて異なる素材を使用すると伝えたいメッセージを目立たせることができます。
胴ラベルの特徴と主な印刷方法、使用されている素材は以下の通りです。
<ラベルの特徴>
胴ラベルは、日本酒の瓶の正面に貼ります。
最も視界に入りやすく、お酒の顔となるため、デザインのオリジナリティが重要です。
<主な印刷方法>
胴ラベルの主な印刷方法は、肩ラベルと同じく「箔押し加工」やデザインを浮き出させて立体感を出す「エンボス加工」、光沢感と立体感が出る「シルク印刷」です。
胴ラベルの箔押し加工は、金・銀箔だけではなく、赤やピンクなどの色物箔も人気があります。
<主なラベルの素材>
胴ラベルに使用されている主な素材は、和紙や金・銀ツヤホイル紙です。
和紙は日本酒や焼酎の胴ラベルに使用されることが多く、金・銀ツヤホイル紙はお祝い用のお酒によく使用されます。
裏ラベルの特徴と主な印刷方法、使用されている素材は以下の通りです。
<ラベルの特徴>
裏ラベルは、日本酒の瓶の裏側に貼るラベルです。
華やかな肩・胴ラベルとは異なり、商品の情報や法令で表示が義務化されている情報などを記載します。
<主な印刷>
裏ラベルの主な印刷は、1シートに何枚かの裏ラベルが配置された「シート印刷」と裏ラベルをまとめて巻いた「オフセット印刷・凸版印刷」です。
<主なラベルの素材>
裏ラベルに使用されている主な素材は、上質紙と和紙です。
特に、上質紙はコストパフォーマンスがよく、後からスタンプや印刷することも可能であるため、人気があります。
以下では、ラベルに表示が義務付けられている内容と任意の内容を詳しく解説します。
日本酒の瓶のラベルを作成する際には、以下のような内容を記載しなければなりません。
表示が義務付けられている内容 | 詳細と記載方法 |
---|---|
アルコール分 |
アルコール度数をアラビア数字で記載します。 記載例 ・アルコール分:15度 ・アルコール度数:13% |
原材料名 |
日本酒の基本的な原料である「米」と「米こうじ」の記載をします。 本醸造酒である場合は、「醸造アルコール」の記載もしましょう。 |
原料米の産地表示 |
原料米の産地の記載も必要です。 産地が複数ある場合は、使用量の多い順に表示します。 記載例 ・原材料名:米(国産、〇〇国産)、米こうじ(国産米) |
品目 |
品目は、「清酒」もしくは「日本酒」のどちらか好きなほうを記載します。 米や米こうじ、水を原料として発酵させてこした醸造酒類で、かつアルコール分が22度未満のものには、清酒または日本酒と記載できます。 記載例 ・品目:清酒 ・品目:日本酒 |
内容量 |
内容量をアラビア数字で記載します。 なお、単位は「ml」を使用します。 記載例 ・内容量:720ml ・内容量:180ml |
製造時期 |
日本酒を瓶詰めにした年月を記載します。 記載例 ・製造年月:2022.10 ・製造年月:令和4年10月 |
製造者の名称および製造場の所在地 |
製造者の名称または氏名、製造所の住所を記載します。 記載例 ・〇〇株式会社 〇〇県〇〇市 〇番地 |
二十歳未満の者の飲酒防止の注意書き |
「飲酒は20歳になってから」 のような注意書きを記載します。 |
なお、生酒の場合は保存もしくは飲用上の注意事項、外国産清酒を使用した場合は、その旨をラベルに記載する必要があります。
・成分について
成分は日本酒のラベルに任意で表示する内容です。
成分を表示する際は、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つを記載します。
<日本酒度>
日本酒度は、甘さや辛さを示す指標です。
数値は、プラス(+1、+2…)やマイナス(-1、-2…)で表示され、プラスになるほど辛口で、マイナスになるほど甘口のお酒ということがわかります。
<酸度>
酸度は、日本酒に含まれる有機酸の量を示す指標で、1.6や1.8などの数値で表示します。
なお、平均的な日本酒の酸度は、1.16〜1.22ほどです。
<アミノ酸度>
アミノ酸度は、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示す指標で、酸度と同様、数値で表示します。
平均的な日本酒のアミノ酸度は1.23〜1.39です。
特定名称 | 原材料 | 精米歩合 | こうじ米使用割合 |
---|---|---|---|
吟醸 |
米、米こうじ、 醸造アルコール |
60%以下 | 15%以上 |
大吟醸 | 米、米こうじ | 50%以下 | 15%以上 |
純米 | 米、米こうじ | 15%以上 | |
純米吟醸 | 米、米こうじ | 60%以下 | 15%以上 |
純米大吟醸 | 米、米こうじ | 50%以下 | 15%以上 |
特別純米 | 米、米こうじ |
60%以下 または特別な醸造方法 |
15%以上 |
本醸造 |
米、米こうじ、 醸造アルコール |
70%以下 | 15%以上 |
特別本醸造 |
米、米こうじ、 醸造アルコール |
70%以下 | 15%以上 |
ラベルを作成する際は、表示禁止事項についても押さえておく必要があります。
清酒の製法、品質などが業界において「最高」や「第一」、「代表」などの最上級を意味する用語や、特定名称以外の清酒において特定名称に類似する用語、「官公庁御用達」またはこれに類似する用語などはラベルに記載できません。
ただし、 自社商品内で品質が明確に優れていることに加え、その根拠を客観的に示せる場合は「極上」「優良」などと記載できます。
日本酒の瓶のラベルは、日本酒の瓶の上部に貼る「肩ラベル」と日本酒の顔になる「胴ラベル」、日本酒の瓶の裏側に貼る「裏ラベル」の3種類です。それぞれの印刷方法や素材は多岐にわたります。
日本酒のラベルを作成する際には、表示が義務付けられている内容に漏れがないよう記載しましょう。
また任意ではありますが、日本酒度と酸度、アミノ酸度の成分を記載しておくと消費者にどのようなお酒なのかが伝わりやすくなるため、記載するのがおすすめです。