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2022年05月09日

【コラム】ガラス容器の生産方法やオーダーメイドについて

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ガラス容器はさまざまな用途で使用されていますが、その生産工程は主に4つに分けられます。また、ガラスは変形が容易であるため、オーダーメイドで製造することも可能です。今回は、ガラス容器の生産方法やオーダーメイドについて紹介します。

 

■ガラスの原料について

ガラス容器のほとんどはカレットと呼ばれるガラス片が原料ですが、ガラスにはもともと石灰石、ソーダ灰、珪砂(けいしゃ)といった天然由来の資源が使われています。そのため、容器の製造コストは他の容器に比べて高めですが、原価は安いのが特徴です。またガラスによっては、ボウ硝(しょう)や硝曹、セレン、鉛などの副原料を使用して作られる場合もあります。

 

・カレット(ガラス)

使用済みガラスを回収し、色分け・洗浄・粉砕したものをカレットと呼びます。融解したものを成形することで、またガラスへと再生できるのがメリットです。環境にやさしいリサイクル資源として、現在、ガラス原料の約8割を占めています。

・石灰石(炭酸カルシウム)

石灰石とは、ガラスの化学的耐久性を強化するために使われる炭酸カルシウムの岩石です。数百年前の地層から採掘され、カレットや珪砂と混ぜることで水に溶けないガラスを作ることができます。

・ソーダ灰(炭酸ナトリウム)

草木を燃やして出た灰から不純物を除去したものがソーダ灰です。石灰石と同じく、ガラスを生成するための補助的役割を担い、カレットや珪砂を溶けやすくするために調合されます。

・珪砂

珪砂とは石を細かく砕いた砂で、ガラスの仕上がりを左右する重要な主原料です。石英やシリカとも呼ばれ、公園や浜辺の砂と同じ成分ですが、ガラスには数百年前の地層から取り出したものを使います。珪砂を液状に溶かすには、1,700度以上の高温の熱が必要です。

・着色剤(酸化第二鉄、カーボン)

ガラス瓶によく見られる茶色は、酸化第二鉄やカーボンなどの着色剤で付けられています。種類によっては青や紫などへの着色も可能です。

 

■ガラス容器の製造工程について

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ガラス容器は、原料の調合・溶解に始まり、成形、徐冷、検査の4工程を経て製造されます。伝統工芸品などは人の手によって一つひとつ丁寧に作られますが、大量生産が必要な一般のガラス容器は、機械による生産方法を採用している場合がほとんどです。

 

・①原料の調合・溶解

カレットや珪砂、石灰石などの主原料を調合し、約1,500度の溶解炉で溶解します。液状になった原料は、瓶を成形しやすい温度(約1,200度)まで下げられ、Gob(ゴブ)と呼ばれるガラスの塊に切断された後に、成形機へと送り込まれます。

・②成形

ガラス瓶の成形工程は、粗型(あらがた)工程と仕上型工程の2つです。
最初に粗型という金型にゴブを充填し、瓶の原型を作ります。瓶の口部径で生産方法が異なり、ビール瓶などの小さいものは、空気で瓶内部を膨らませるブロー方式が一般的です。一方、ジャム瓶のような大きなサイズのものは、棒状の金型で圧を加えるプレス方式によって形が整えられます。
おおよその成形を終えたガラスはパリソンと呼ばれ、仕上型工程に進みます。仕上型とは、パリソンを最終的な瓶の形にするための金型です。ガラスの成形は非常に迅速な作業を要し、1分間に約400本のガラス瓶が作られています。

・③徐冷

成形直後のガラス瓶は非常に高温で、急に常温に戻してしまうと歪(ひずみ)が生じ、適切な強度を保つことができません。そのため、時間をかけてゆっくりと温度を下げていくことが大切です。600度の徐冷炉(レヤー)に送り、常温になるまで30〜40分かけて段階的に冷却します。

・④検査・梱包

完成したガラス容器は、検査機によって口部サイズ、ビリ(細かいヒビ)・アワ・しわ・異物などの有無を細かくチェックします。無事に検査をクリアしたガラス瓶だけが梱包され、消費者の元へ出荷されるのです。

 

■ガラス容器のオーダーメイドについて

事業者の中には、既成のガラス容器とは異なるデザインで勝負したい方もいるでしょう。そのようなときにおすすめなのが、ガラス容器のオーダーメイドです。ここからはオーダーメイドのメリットと生産方法を紹介するので、ガラス容器を選ぶ際の参考にしてください。

・オーダーメイドのガラス瓶とは

オーダーメイドのガラス瓶は、事業者のアイデアや商品イメージに基づいて作られます。金型を起こすところから始められるため、他社にはないオリジナルのガラス容器を製造できるのが魅力です。

・①デザインを考える

オリジナルのガラス容器を作るうえで、最も重要となるのがデザインです。製品に合った理想の形を作るためにも、これまで漠然としていたイメージを具体的なデザインへと描き出していきましょう。
デザインを構想する際のポイントは、使い終わった後の用途を考えることです。観賞用にするのであれば斬新なデザインに、容器としての活用を想定しているのであれば機能性を考慮したデザインにしましょう。
また、形状だけでなくラベルやガラスの色による印象の変化をイメージしておくことも大切です。特にガラスの色は、中に充填する内容物の色も考慮して慎重に決めましょう。中身の液体が鮮やかな色であった場合、無色透明にすると食品の味が想像でき、消費者の購買意欲を誘えるかもしれません。また残量の確認が容易にできるため、使用後もさまざまな食品の保存に使うことができます。

・②設計する

デザインの時点では、瓶の口部や底の寸法が明確化されていないため、バランスが悪く安定性に欠けてしまいます。したがって、ガラス容器としてしっかり機能させるには、入念な設計作業が大切です。
また、各部の寸法を決めると同時に、瓶の容量やサイズも決めておきましょう。デザインによっては希望通りの容量が入らなかったり、思った以上にサイズが大きくなったりする可能性があります。その場合、デザインと容量の見直しが必要になってきます。加えて、使用する際の扱いやすさや、中身が入った状態の重量も想定しておくことが大切です。

・③サンプルや金型を作成する

デザインと設計書に基づき、3Dプリンターやアクリル模型、木型またはガラスでサンプルを作ります。場合によっては問題点や改善点が見つかることもあり、その場合はデザインや設計の練り直しが必要になります。
サンプルで問題がなければ金型を作成します。金型は、ガラス容器を効率的かつ低コストで製造するために欠かせない存在です。溶かしたガラスをいくつもの金型で成形することで、同じ形のガラス容器を1度に大量生産することができます。

・④製造する

仕上がった金型を機械に取り付け、発注数や納期に応じて製造・納品されます。 このような多くの手順を踏んで、初めてオーダーメイドのガラス瓶が完成するのです。・オーダーメイドはどんな場合に向いている?

オーダーメイドは世界で1つだけのオリジナル容器を作ることができるため、独創的なデザインや機能性で商品に付加価値を付けたい場合に最適です。また新商品を開発するにあたって、競合商品との差別化を図りたいときにも向いているでしょう。
しかし、金型作成には数百万円の費用が必要となります。また、一度に大量の瓶が生産されるため、保管場所や販路の確保も必要ですので、よく検討したうえで容器販売業者へ相談すると良いでしょう。

 

まとめ

ガラス容器の製造は、原料の調合から納品に至るまで非常に繊細な作業を要します。また、オーダーメイドであれば他にはない個性的なデザインや、より機能的なものを作ることが可能です。ぜひこの機会に、ガラス容器の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

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