News & Topics 新着情報

2025年05月12日

【コラム】ゴーストレストランとは?開業の仕組みやメリット、問題点について解説

25/25-01-3-1

ここ数年、フードデリバリーの普及とともに注目を集めている「ゴーストレストラン」。実店舗を持たず、デリバリーやテイクアウトのみで運営されるこの新しいビジネスモデルは、飲食業界に革新的な変化をもたらしています。

コロナ禍を経て、さらに存在感を増すゴーストレストランの仕組みや特徴、そしてこのビジネスモデルにおけるメリットや問題点を詳しく見ていきましょう。

 

■ゴーストレストランとは

 25/25-01-3-2

ゴーストレストランとは、実店舗での飲食サービスを提供せず、デリバリーやテイクアウトに特化した飲食店を指します。店内での接客を行わず、座席スペースを持たないことから「幽霊(ゴースト)」のように実体が見えない存在という意味でこの名称が付けられました。

 

キッチン設備のみを備え、12人程度の少人数で運営できることが特徴で、デリバリープラットフォームの普及とともに拡大した新しいビジネスモデルです。

コロナ禍での外食産業の変革期に特に注目を集め、従来の飲食店と比べて大幅に初期費用を抑えられることから、飲食業界への新規参入のハードルを下げることにも貢献しています。

 

■ゴーストレストランを開業する仕組み

 

ゴーストレストランは、低コストで開業できる魅力的なビジネスモデルです。ゴーストレストランを始めたいときは、以下の手順で開業することができます。

 

コンセプトとメニューを決める

提供する料理のジャンルや価格帯、ターゲット層を明確に設定し、デリバリーに適した商品開発を行います。配達時間や温度管理を考慮し、品質を維持できる料理を選定することが重要です。

 

また、競合店の調査や原価計算を行い、収益性の高いメニュー構成を検討します。

 

調理場所を確保する

クラウドキッチンやシェアキッチンなど、既存の施設を利用するか、自前の調理場所を確保します。

 

スペースは通常23坪程度で、調理設備や保管場所、作業導線を効率的に配置する必要があります。デリバリー専用の受け渡しスペースも考慮に入れておくようにしましょう。

 

許認可を取得する

飲食店営業許可や食品衛生責任者の資格など、必要な許認可を取得します。保健所への申請や消防署への届出も必要で、特にデリバリー専門店としての衛生管理基準を満たさなくてはなりません。

 

デリバリーサービスに登録する

主要なデリバリープラットフォームへの登録を行います。審査には通常1週間から2カ月程度かかり、店舗情報やメニュー写真の準備、価格設定、配達エリアの設定などが必要です。

 

複数のプラットフォームに出店することで、より多くの顧客にリーチできます。

 

マーケティングを実施する

SNSやデジタル広告を活用し、オンラインでの認知度向上を図ります。プラットフォーム内でのランキング上位表示を目指し、レビュー管理や商品写真の改善、セール企画などを実施します。

 

また、リピーター獲得のためのオリジナルパッケージやサービス施策を検討するのも手です。

 

■ゴーストレストランのメリット

 25/25-01-3-3

ゴーストレストランのメリットは、従来の飲食店と比べて、コストを抑えながら効率的に運営できる点にあります。主なメリットには以下の点が挙げられます。

 

初期費用や固定費用を抑えられる

ゴーストレストランは、客席スペースや内装工事、ホールスタッフが不要なので、従来の飲食店と比べて大幅に初期費用を抑えることができます。通常の飲食店開業では1,000万円以上かかる初期投資が、ゴーストレストランなら50300万円程度で開業が可能です。

 

また、家賃や人件費などの固定費も最小限に抑えられるため、経営の安定性を高めることができます。

特にクラウドキッチンを利用する場合は、厨房設備も整った状態で利用できるため、さらなるコスト削減が可能です。

 

立地に左右されにくい

ゴーストレストランは、実店舗のように人通りや視認性を重視する必要がないため、路面店や繁華街でなくても営業が可能です。デリバリー需要が見込めるエリアであれば、賃料の安い住宅地の一角や高層ビルの上層階でも展開できます。

 

また、配達エリアの設定を柔軟に変更できるため、需要の変化に応じて商圏を広げたり絞ったりすることも可能です。これにより、従来の飲食店では難しかった立地での事業展開が実現できます。

 

業態変更しやすい

ゴーストレストランは、実店舗のような内装工事や看板の変更が不要なので、メニューや料理のジャンルを柔軟に変更することができます。デリバリープラットフォーム上での情報更新だけで新たな業態へのチャレンジが可能で、市場の反応を見ながら試行錯誤を繰り返せることが大きな特徴です。

 

このため、季節に応じたメニュー展開や、複数のブランドを同時に運営するマルチブランド戦略なども容易に実施できます。

 

 

■ゴーストレストランの問題点

 25/25-01-3-4

ゴーストレストランは、低コストで開業できるなど多くのメリットがある一方で、以下のような問題点も抱えています。

 

デリバリーサービスの手数料がかかる

デリバリープラットフォームに支払う手数料は売上の3540%程度と高額で、これに加えて包材費や原材料費などのコストも必要となるため、適正な利益を確保するのが難しい状況です。

 

また、ユーザー側も配達手数料を支払うため、料理の価格を上げすぎると総額が高額となってしまい、注文を躊躇されるかもしれません。価格設定と利益確保のバランスを慎重に検討する必要があります。

 

オンライン集客に依存する

ゴーストレストランは実店舗を持たないため、デリバリープラットフォームやSNSなどのオンラインチャネルが唯一の集客手段となります。

このため、プラットフォーム内での表示順位や評価に大きく売上が左右され、アルゴリズムの変更や競合店の増加によって突然の売上減少のリスクを抱えやすいです。

 

また、オンライン上での差別化が難しく、商品の魅力を写真や文字だけで伝える必要があるため、独自のブランド構築に時間がかかる傾向があります。

 

品質維持が難しい

ゴーストレストランでは、料理の完成から顧客の手元に届くまでに時間がかかるため、温度や見た目の品質維持が大きな課題となります。特に、配達時間や配達員のハンドリングによって料理の状態が左右されやすく、店舗での提供時のようなクオリティを保つことが困難です。

 

また、デリバリー向けの専用容器を使用する必要があり、料理の見栄えやおいしさを保ったまま配達することは技術と工夫を要します。

 

■ゴーストレストランで成功するにはコンセプト設計が重要

ゴーストレストランは、外食産業における新たなビジネスモデルとして確実に成長を続けています。低コストでの開業や柔軟な運営が可能という大きなメリットがある一方で、品質管理やプラットフォーム依存などの課題も存在します。

数多くのレストランがひしめく中で、顧客の目に留まり、選ばれるためには、明確なコンセプトと差別化が不可欠です。

ページトップへ戻る