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2025年03月17日

【コラム】着色加工とは?着色加工を行うメリットや導入する際の注意点を解説

    

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プラスチック製品の原料である樹脂は無色または乳白色に近く、もともと色を持っているわけではありません。

プラスチック製品に多様な色を付けるために行われているのが「着色加工」です。着色加工にはさまざまな種類があるため、用途に応じたものを選びましょう。

今回の記事では、着色加工の種類やメリットを解説しています。着色加工時の注意点についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

 

■着色加工とは 


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着色加工とは、プラスチック製品の原料に色を付ける加工のことです。着色する方法によって「内部着色」と「外部着色」の2種類に分けられます。

 

内部着色と外部着色それぞれの特徴を解説します。

 

内部着色


内部着色は、プラスチック製品の原料となる樹脂の中に、染料や顔料、着色剤といった色材を練り込んで着色する方法です。色材を樹脂に混ぜ合わせて着色を行うため、内部まで色ムラなく着色できる特徴があります。

 

内部着色で使用する着色剤には、以下のようなものがあります。

 

着色剤の種類 特徴 メリット デメリット
マスターバッジ ・高濃度の顔料が練り込まれた粒子状(ペレット状)の着色剤 ・粒子が混ざりやすく、色ムラが出にくい
・加工時の飛び散りがない
・比較的コストが抑えられる
・ナチュラルペレットと混ぜて色の濃淡調整をする必要がある
着色ペレット・着色コンパウンド ・最終的な色味に設定された粒子状(ペレット状)の着色剤 ・色の濃淡調整が不要
・色ムラが出にくい
・ややコストが高い
ドライカラー ・顔料や金属石鹸などを混ぜ合わせた粉状の着色剤 ・コストが抑えられる ・飛び散りやすいため機材が汚れるリスクがある
・計量が難しい
・取り扱いが難しい
ペーストカラー・リキッドマスターバッチ ・液体状の着色剤
・ペーストカラーは液状樹脂の着色向き
・リキッドマスターバッチは半透明の樹脂への薄い着色向き
・色のムラが出にくい
・加工時の飛び散りがない
・比較的コストが抑えられる
・機材が汚れるリスクがある

 

内部着色では、着色加工をする製品の形状や色味、濃淡の具合、コストバランスなどを考えて、最適な着色剤を選ぶことが重要です。

 

外部着色


外部着色とは、プラスチック製品の表面に直接着色する方法です。外部着色の代表的な手法は以下の3つです。

 

着色剤の種類 特徴 メリット デメリット
塗装 ・ウレタンやアクリル、ラッカーなどの塗料で外側を塗る手法 ・内部着色では難しい色味を出せる
・色ムラが出にくい
・プラスチック樹脂によっては塗料の密着性を高める下処理が必要
・内部着色よりもコストが高い
プラスチックメッキ ・製品の表面を薄い金属の膜で覆う手法
・表面に金属メッキ処理をすれば電気も通せる
・金属光沢が出るため、見た目が美しく仕上がる ・劣化によって金属がはがれたり、見た目がくすんだりする
印刷 ・ホットスタンプ印刷、パッド印刷、インクジェット印刷などで製品表面に印刷を行う手法 ・細かい文字や装飾なども印刷できる
・複雑な色味も付けられる
・プラスチック樹脂によっては塗料の密着性を高める下処理が必要
・凹凸には印刷しにくいため、平面に限られる

 

外部着色も内部着色と同じく、プラスチック製品の形状や樹脂の種類に応じて、最適なものを選ぶことが重要です。



■着色加工を行うメリット


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プラスチック製品へ着色加工を行うことで、多くのメリットが得られます。着色加工によって得られる具体的なメリットを解説します。

 

製品の視覚的な魅力が高くなる


着色加工によって、プラスチック製品の視覚的な魅力の向上につながります。例えば製品のコンセプトやテーマに沿った色味を選んだり、光沢を出して高級感のある印象を与えたりすることも可能です。

 

また、例えば温かい飲み物のふたは、その中身が温かいことを分かりやすくするためにオレンジ色に統一されています。このように、製品の中身や用途を識別するために、色分けが行われることがあります。

 

製品の機能性や付加価値を高める


着色加工に用いる着色剤の中には、製品の機能性を高める効果を持つ「機能性着色剤」もあります。例えば日光や紫外線、気温による劣化が懸念されるポリエチレンやポリプロピレンなどの素材には、耐候性を向上する機能を持つ着色剤が有効です。ほかにも、導電性を高める機能を持つ着色剤を使えば静電気がたまるのを防止できるため、精密機器の部品などに用いられています。

 

機能を高める、または付与することで、プラスチック製品そのものに付加価値を与えることにもつながります。

 

製品の傷が目立ちにくくなる


外部着色を行うことで、プラスチック製品の加工時に発生した細かい傷や加工の跡を目立たなくすることが可能です。傷や加工の跡を考慮せずに製品加工できるため、より幅広いデザインや形状の製品作りも実現できます。

 

製品の中身や用途を判断しやすくなる


着色加工を行うことで、プラスチック製品の中身や用途を色で識別しやすくなります。例えば工事や緊急時に適切な判断ができるように、水道用パイプは青色、ガス用パイプは黄色で色分けされています。

 


■着色加工の注意点


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プラスチック製品の着色加工は、用途に合わせた色選びのほか、材料や手法選びを適切に行うことが重要です。着色加工で覚えておきたい注意点を解説します。

 

はげや色落ちがないかを考える


着色加工の手法とプラスチック樹脂原料によっては、着色がはげたり、色落ちしたりしてしまうことがあります。例えば外部着色の塗装や印刷は、樹脂原料や製品の形状によっては塗料が密着しにくかったり、印刷がうまく乗らなかったりすることがあるのです。

 

さらに、塗料の種類によっては、紫外線や気温による色落ちが起きることもあるでしょう。着色のはげや色落ちが発生すると、プラスチック製品の見た目が悪くなるだけでなく、導電性などの着色加工による機能が落ちてしまう原因にもなります。

 

着色のはげや色落ちを防ぐために、適切な樹脂原料と手法を選定したり、必要に応じた下塗りや後処理を施したり、耐候性の高い機能性着色剤を選定したりすることが必要です。

 

使用目的とターゲット層に合った色選びをする


着色加工を行う際には、プラスチック製品の使用目的とターゲット層に合った色選びを行いましょう。特に用途の識別のために着色加工を行う場合には、用途に合わせた色の選定が重要です。

 

使用目的やターゲット層に合う色選びが難しい場合には、最適な色の提案が受けられる製品開発を行っている企業へ依頼することをおすすめします。

例えば斎藤容器では、ターゲットとなる顧客の年齢・性別・嗜好・所得・購買シチュエーションに加えて、競合他社製品の方向性や近年のユーザー傾向などをマトリックス化し、最適な色やボトルデザインの提案を行っています。

 

見本と仕上がりの違いを対策する


着色加工依頼時に確認した仕上がり見本と、実際の仕上がりの色合いが異なることがあります。見本と仕上がりのギャップを埋めるためには、色決めとデザイン、加工を一貫で行っている企業を選択するなどの方法が有効です。

例えば斎藤容器では、商品開発のデザイン、製造、さらにマーケティングやブランディングまで、ワンストップでのソリューションを提供しています。

 


■まとめ


着色加工はプラスチック製品の見た目を向上させるだけなく、用途の識別や機能の向上、追加による付加価値を与えるといった役割も持っています。プラスチック製品の形状や使用する樹脂素材、付けたい色味やコストに応じた着色加工を選びましょう。

 

斎藤容器では、製品のイメージやターゲット、用途に応じた着色加工が可能です。ご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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