【コラム】冷凍保存容器の素材にはどんなものがある?冷凍食品を販売する際の容器を選ぶポイントについても紹介
食品を冷凍保存する際、どんな保存容器を選べばいいか迷っていませんか?普段何気なく使用している冷凍保存容器には、さまざまな種類があります。素材の特徴によって注意点は異なり、使い勝手も変わってくるでしょう。
今回は、冷凍保存容器の素材とポイントについて解説します。
冷凍保存に対応した保存容器はサイズや形もさまざまですが、使用用途に応じた素材を選ぶことも大切です。ここでは、主な素材を3つ紹介します。
・プラスチック
電子レンジによる解凍ができる容器もあることから、手軽さの面で人気なのがプラスチック容器です。お手頃な価格で豊富なサイズ展開がされているほか、重ねて収納もできるため、収納場所にも困りません。また、軽くて扱いやすい反面、におい移りや色移りがしやすいデメリットもあります。
・ホーロー
熱伝導に優れているホーローなら、解凍に時間がかかりません。電子レンジの使用はできませんが、直火にかけられることから、食品によっては使い勝手がよいでしょう。ただし、本体が透明ではないため、中身を確認しにくいデメリットもあります。
・耐熱ガラス
蓋は対応していませんが、耐熱ガラスの本体は電子レンジやオーブンでの使用が可能です。におい移りや色移りはしませんが、ガラス製は本体が重いため、取り扱いに注意してください。また、水分量の多い食品を保存する際は、膨張して容器が割れる恐れもあるので、水を切ってから冷凍するようにしましょう。
販売されている冷凍保存容器には、「耐熱温度」や「耐冷温度」などが記載されています。まずは表示欄を確認し、冷凍保存が可能かどうか確認しましょう。その他、選ぶ際のポイントは以下の通りです。
・サイズ感
一口に冷凍保存容器といっても、サイズはさまざまです。大きすぎると場所を取ってしまう反面、小さすぎると食品が入りきりません。保存したい食品によって適切なサイズは異なるため、サイズ違いでいくつか用意しておきましょう。
たとえば、お茶碗1杯分の容量のサイズなら、そのまま1回分のご飯が解凍して食べられます。
・密閉性
保存容器の種類にもよりますが、蓋にゴムパッキンがついていて、しっかり密閉できるタイプもあります。しっかりと封ができることによって、食品の鮮度が保たれて長持ちするほか、液だれもしません。また、においの強い食品を保存する際など、性質にあった素材の容器を選ぶようにしましょう。
・デザイン
一目で中身が把握できるデザインであれば、冷凍庫を開けた際に保存状態や残量などが確認できるため便利です。直火で再調理したい場合にはホーロー素材がおすすめですが、ガラス素材ならそのまま食卓に並べられるでしょう。同一の素材で統一すれば、冷凍庫内もすっきり片付いて見えます。
・電子レンジへの対応可否
食品を保存する際は、容器が電子レンジに対応しているかも確認しておきましょう。容器は電子レンジに対応していても、蓋は非対応の場合もあります。保存容器からお皿に移して温める手間が省ければ、洗いものも減って家事も効率的です。食洗器を使用している場合は、耐熱温度が140度あれば対応できます。
冷凍保存を目的とした場合、耐熱温度同様、容器は対応できても蓋が非対応の場合があるため、必ず両方チェックしましょう。
・耐冷温度に注意する
冷凍庫に保存する際は、マイナス18度以下に対応できる容器を選んでください。基本的には、プラスチックやホーロー、ガラス以外に保存袋も対応しています。ただし、耐熱ガラス容器を冷凍庫から出してすぐオーブンに入れることは避けてください。急激な温度変化に耐えきれず、割れてしまう可能性があります。
・冷凍に適していないものもある
ガラス容器に食品を入れて保存する際、容器に入れすぎないように注意しましょう。冷凍庫で凍らせると中身は膨張するため、必ず隙間のある状態にすることが大切です。また、ステンレス素材の容器は、商品によっては冷凍可能ですが、対応していない場合もあります。
冷凍食品の製造には、「食品衛生責任者」や「食品衛生法に基づく営業許可」の資格が必須です。さらに、販売するためには許可も申請しなくてはなりません。ここでは、冷凍食品を扱うにあたって、必要な許可を解説します。
・冷凍食品製造業の営業許可
冷凍食品製造業は、食品を冷凍品として製造するために必要な営業許可を指します。ただし、「添加物などの規格基準に準じた食品」を製造する際に限り、求められる許可です。
一般的に、煮物や焼きもの、揚げものなどの「そうざい製造」に該当する食品を対象とした冷凍食品の製造が該当します。
・複合型冷凍食品製造業の営業許可
複合型冷凍食品製造業は、冷凍食品を製造する以外にも、以下の食品を製造する業者が該当します。
● 食肉処理業
● 菓子製造業
● 水産製品製造業
● 麺類製造業
なお、以前はそれぞれ追加で取得が必要でしたが、現在は複合型冷凍食品製造業の営業許可一つで追加取得が免除される仕組みになりました。ただし、「HACCPに基づく衛生管理」を行うことが条件となっています。食品衛生法の改正によって営業許可制度がシンプルになったことで、手続きにかかる手間も減ったと言えるでしょう。
・冷凍・冷蔵倉庫業の届出
冷凍食品製造業や複合型冷凍食品製造業の営業許可は業者が行うのに対し、冷凍・冷蔵倉庫業の届出は販売や輸送側が手続きを行います。保管や輸送だけを請け負う場合、施設の整備や更新の手続きは不要です。そのため、冷凍事業へ参入しやすくなり、ハードルが下がったと言われています。
以下では、冷凍食品を製造するための営業許可を取得するのに必要になる条件を紹介します。
・食品衛生責任者の資格を所有している
食品衛生責任者の資格は、指定の養成講習を受講し、修了証を保健所に届け出ることで取得できます。
ただし、以下の資格を取得している場合は、養成講習を受講する必要はありません。
● 調理師
● 製菓衛生師
● 栄養士
● 船舶料理士
● と畜場法に規定する衛生管理責任者
● と畜場法に規定する作業衛生責任者
● 食鳥処理衛生管理者
● 食品衛生管理者または食品衛生監視員の資格要件を満たす者
・自治体の基準に沿った施設の整備を行なっている
各都道府県では、共通基準と特定基準の2種類の施設基準を条例で定めています。
共通基準は、営業許可を受けるほぼすべての施設に適用されますが、冷凍食品製造業と複合型冷凍食品製造業で設けられている特定基準は、以下の通りです。
⑴ 原材料の保管及び前処理並びに製品の製造、冷凍、包装及び保管をするための室又は場所を有すること。なお、室を場所とする場合にあっては、作業区分に応じて区画されていること。
⑵ 原材料を保管する室又は場所に冷蔵又は冷凍設備を有すること。
⑶ 製品を製造する室又は場所は、製造する品目に応じて、加熱、殺菌、放冷及び冷却に必要な設備を有すること。
⑷ 製品が摂氏マイナス十五度以下となるよう管理することのできる機能を備える冷凍室及び保管室を有すること。
引用:厚生労働省『施設基準の全体像』
今回は、冷凍保存容器を選ぶうえでポイントとなる項目を紹介してきました。素材一つとっても、用途によって使い分けることが大切です。軽さや見た目だけでなく、電子レンジへの対応の可否など、使いやすさにもこだわって選びましょう。