【コラム】パウチとはどんなもの?特長や仕組みについて紹介
パウチとは、レトルト食品などの容器として使われているものです。現在使用されているパウチにはさまざまな特長がありますが、その実現にはパウチの仕組みが深くかかわっています。
今回は、パウチについて紹介します。
パウチとは「小袋(ポーチ)」のことで、缶詰に代わる容器として1950年代にアメリカで軍事用に開発されたのがはじまりです。その後、日本で大きな変化を遂げ、食品をはじめ、さまざまなものを保存できるまでに進化しました。
現代において欠かせないものとなったパウチは、レトルト食品や洗剤、シャンプー・リンスなどの詰め替え容器として幅広く使用されています。
パウチが世間にこれほど広く浸透したのは、5つの優れた特長があるためです。
・密封性
見た目からは想像できないかもしれませんが、パウチは複数のフィルムが重なってできています。熱の力でフィルムを接着させる「シール技術」によって、高い密封性が実現しました。
また、パウチは衝撃に強く、内容物が漏れる心配もありません。内容物の性質が変化しないため、食品などを長期保存することも可能です。
・再封性
再封性とは、一度開封して再び封ができる性質のことで、パウチは再封性にも優れています。パウチに再封性をもたせるには、パウチ容器にスパウトと呼ばれる注ぎ口を付ける方法が一般的です。スパウトは英語が語源となっており、「液体が噴き出す」という意味があります。
これにより、開封した後でも内容物の劣化を最小限にとどめられます。また、必要なときに使いたい量だけ使えるので、パウチに充填する内容物の量を増やすことも可能になりました。
パウチは、その再封性の高さから、最近では食品や洗濯洗剤以外にもワインなどの容器として用いられるようになっています。
・環境にやさしい
パウチは環境にやさしいことでも知られています。少し前まで、洗濯洗剤などに使われるプラスチック製のボトル容器は使い捨てが当たり前でした。
しかし、パウチによってボトル容器を繰り返し使うことが可能になり、環境への負担を軽減することが可能になったのです。パウチが環境にやさしいと言われる理由は他にもあります。
● プラスチック容器の使用量を大幅に削減した
● 詰め替えの文化を定着させた
● かさばらず、狭いスペースでの保管が可能になった
● 軽量化により、輸送する際の二酸化炭素排出量が軽減できるようになった
● 再生可能なペットフィルムなど、地球環境にやさしい素材でできている
・利便性
パウチは利便性が高く、目的・用途によってさまざまな加工ができます。加工例は以下の通りです。
● 食品の長期保存のため、酸素や水、光を遮断できるアルミを使用した
● 中に入った食品を取り出さずに電子レンジで直接調理できる
● 持ち運びに便利な持ち手つき
・災害時にも活躍
パウチ容器の食品は、電気やガスが使えなくても簡単に調理できます。そのため、非常時の備えとしても役立ちます。また、かさばらず持ち運びしやすいことから、アウトドアでの食事としても重宝するでしょう。マチを設けた自立タイプのパウチなら、容器のまま食事を摂ることが可能です。皿などの洗いものが出ないため、節水にもつながります。
一般的なパウチに使用される素材は、プラスチックフィルム・アルミ箔・蒸着(じょうちゃく)フィルムですが、フィルムの素材を変えれば、目的・用途に合わせたパウチに加工することも可能です。
ここでは、酸素・水分を遮断できるパウチの構造について紹介します。
・酸素を遮断する仕組み
酸素を遮断するパウチは、プラスチックフィルムでバリア層・酸素吸収層を挟んだ構造です。外部からの酸素をバリア層によってさえぎり、内部に残った酸素を酸素吸収層が吸収する仕組みになっています。
酸素を遮断できるパウチなら、酸化による内容物の劣化を防ぐことが可能です。
・水分を遮断する仕組み
水分を遮断するパウチは、 プラスチックフィルムでバリア層・吸湿層を挟んでいます。外から入ろうとする水分をバリア層でさえぎり、内部に残った水分を吸収するのが吸湿層です。
パウチの中に乾燥剤を入れる必要がないので、子どもやペットによる乾燥剤の誤飲リスクがありません。
なお、酸素吸収層や吸湿層は特別なパウチにしか使われていません。すべてのパウチが同じ構造ではないため、ご注意ください。
一口にパウチといってもたくさんの種類があります。目的・用途によって形状が異なるので、パウチ製品を手に取る際は見比べてみるとおもしろいかもしれません。
ここでは、普段目にするさまざまなパウチを簡単に紹介します。
・自立袋・平立袋
パウチ容器の基本形状は、以下の2つです。
<自立袋タイプ>
自立袋は袋の底のマチを広げると立たせることができるので、スタンディングパウチとも呼ばれます。店頭での視認性が高く、パウチのままでも他の容器と同じような使い方ができるので、非常食の容器として利用されています。
<平袋タイプ>
カレー、スープ、パスタソースなど多くのレトルトパウチに採用されています。
なおレトルトパウチとは、パウチに食品を充填して密封した後に高温加熱殺菌を行なったもので、缶詰と同程度の保存効果があります。また、レトルト食品は、レトルトという圧力釜を使って殺菌することからその名がつきました。
この圧力釜で食品を加圧し、100°C以上の温度で殺菌したものをレトルト食品と呼んでいます。無菌化されたレトルト食品は常温での流通や長期保存が可能です。
殺菌温度には4つの種類があり、包装する食品によって異なります。殺菌温度が高いほど短時間での殺菌が可能で、食品の品質を保持する効果も高まります。
殺菌温度は以下の4つです。
● ボイル殺菌:100°C未満で殺菌
● セミレトルト殺菌:105~115°Cで殺菌
● レトルト殺菌:120°Cで殺菌
● ハイレトルト殺菌:135°C以上で殺菌
・センタースパウト
センタースパウトとは、上部中央にスパウト(注ぎ口)が取り付けられたタイプです。スパウトがついているので、化粧水や乳液、シャンプー・リンスといった粘度の高い液体を容器に移し替える際にとても便利です。また、再封性に優れているため、製品の保存に向いており、ゼリー飲料にも採用されています。
・ガセット
ガセットとは、袋の底を四角く広げられるパウチのことで、コーヒーやお茶、お菓子などに採用されています。シングルレイヤーとダブルレイヤーの2種類があり、シングルレイヤーは左右にマチがあるタイプで、底が広く安定して自立します。
一方、ダブルレイヤーはマチが上部につながっているため、パウチの容量を最大限まで活用できます。
・コーナースパウト
コーナースパウトとは、上部の角にスパウト(注ぎ口)が取り付けられたタイプです。角にスパウトがあるので、内容物を注ぎやすいというメリットがあります。しかし最近は、パウチの密閉性の高さから、中身を詰め替えずそのまま使用するケースもあるようです。
今回は、私たちの生活に欠かせないパウチについて紹介しました。パウチは、密封性や再封性などに優れた万能容器です。
当たり前のように見かけるパウチですが、構造や種類は実にさまざまです。保存容器に迷った場合は、ぜひ斎藤容器にご相談ください。豊富な商品の中から、目的・用途に合う最適なパウチをご提案いたします。