【コラム】化粧品のボトルデザインを考える際にやっておくべきこととは? デザインの印刷方法についても解説
化粧品のボトルデザインを考える際には、事前の準備が大切です。ボトルのデザインが決定したら、デザインに適した印刷方法にはどのようなものがあるのか考えましょう。 今回は、化粧品のボトルデザインについて解説します。
化粧品のボトルデザインを考える前に、まずは何をすればよいのでしょうか。
まずは、化粧品を販売するターゲットを明確にしましょう。
理由はターゲットの年齢層や使用シーンなどによって、全く違うボトルデザインになるからです。
化粧品なので、性別や年齢層・肌質・肌の悩みはもちろん、職業・年収・趣味・好きなブランド・価値観・休日の過ごし方などをできる限り明確にし、化粧品のブランドコンセプトや価格帯も意識しながら、想定顧客層を決めます。
化粧品の販売販路によって、デザインの方法や方向性は違います。
たとえば、ドラッグストアやバラエティーショップをメインに販売する化粧品と、百貨店や専門店をメインに販売する化粧品では、デザインの雰囲気が異なるでしょう。
そのため、どの販売販路をメインにするのか、はっきり決める必要があります。
化粧品の価格帯を表す際には、低価格帯・中価格帯・高価格帯の3つに分けられる場合がほとんどです。
あらかじめ化粧品をどれくらいの価格にするのか大まかに決めておくと、デザインの制作もスムーズになります。
スキンケア化粧品のカテゴリーの中で最も購入数が多い化粧水の価格帯は、以下の通りです。
●低価格:700~1,500円未満
●中価格:1,500~4,000円未満
●高価格:4,000~7,500円未満
さらに、低価格帯よりも安いものを格安、高価格帯よりも高いものをプレステージと区分します。
ネーミングやロゴもボトルデザインに影響するため、決まっていなくとも数案に絞り込んでおく必要があります。
初期段階でネーミングとロゴが決まっていないままボトルデザインを検討している場合は、まずはネーミングとロゴから絞り込みましょう。
化粧品のボトルデザインを具体的に考える前に、デザインテイストについて共有しやすくしておくとよいでしょう。
たとえば、ボトルデザインについてシンプル・かわいい・高級感などを数字で表したプロット表などを作ると共有しやすいのでおすすめです。
容量についても大まかに決めておきます。
ただし、容器の種類や中身の性状によっても容量は異なるため、「必ずこの容量」と決めるのではなく、大まかな容量で目安を定める程度にしておきましょう。
印刷方法によってもボトルのテイストは変わります。
化粧品のボトルデザインが決まったら、デザインに適した印刷方法を選びましょう。
シルクスクリーン印刷はポピュラーな方法で、ポリエステルやナイロンなどの樹脂でできたスクリーンとよばれる版板にインクを付けて、スキージと呼ばれる道具で圧力をかけながら印刷します。
特徴は、以下の通りです。
●インクの種類が多く、さまざまな素材に印刷できる
●下地の色の影響を受けにくく、鮮やかな色彩を表現できる
●グラデーションやカラー写真などの階調表現はできない
パッド印刷はオフセット印刷の一種で、金属製の凹版を使用して版上のインキをシリコーンパッドに一次転写し、印刷物に二次転写します。
特徴は、以下の通りです。
●弾力のあるシリコーンパッドを使うため、立体物への印刷が可能
●グラデーションやカラー写真などの階調表現はできない
オフセット印刷は細かい文字の印刷や繊細なデザインに向いています。
特徴は、以下の通りです。
●多色刷りに向き、グラデーションのあるデザインもきれいに印刷できる
●印刷にかかる時間が短く、大量印刷にも便利
●シルク印刷と比較するとコストは抑えられるが、耐候性は低い
熱乾印刷は、赤外線による揮発性成分の蒸発に基づいて乾燥させる方法です。
大きなエネルギーが必要なことや手作業で行うことに加えて、乾燥に時間がかかることから、大量生産には向きません。
UV印刷とは、紫外線で硬化・乾燥するUVインキを使用し、印刷を行う方法です。
UVインキに紫外線を照射すると1秒未満で硬化するため、大量生産にも対応できます。
また、UVインキが瞬時に乾く利点を活かし、ホイル紙・PET・PPなど、表面がつるつるでインキを吸収しない素材のパッケージ印刷にもよく使われる方法です。
インクジェット印刷は、家庭用プリンターでも使われる身近な方法です。
微細なインキをノズルから噴射し、被印刷物に直接吹き付けて堆積させます。
インクジェット印刷の主な特徴は、以下の通りです。
●データで印刷するため、版が必要ない
●多彩なパッケージ印刷が可能
●コストは高くなるが小ロットで印刷できる
塗装は生地瓶を乾燥炉の中で乾燥させ、除塵と吹き付けを行う方法です。
マット塗装やグラデーション塗装など、さまざまな手法があります。
また、塗料とインキでは使用する溶剤が異なり、塗料は刷毛(はけ)やスプレーで作業する前提で作られているのも特徴の一つです。
蒸着とは、薄い膜を製品の表面に付着させる加工方法で、表面をコーティングし、耐久性を上げるために用いられます。
主に物理蒸着と化学蒸着の2種類あり、素材に適した蒸着方法を選択しなければなりません。
●物理蒸着:蒸着させる材料を加熱・気化させ、物理反応を利用して行う加工方法です。CDやDVDの裏面の加工や工具に活用されます。
●化学蒸着:蒸着するものを気化させることにより、反応ガスと混合する化学反応を利用して行う加工方法です。なかでも繊細な加工や耐久性が求められることの多い半導体の製造や、合金などの蒸着方法としてよく用いられます
ホットスタンプ印刷は箔押し印刷とも呼ばれ、スタンプのように印刷物に転写させる方法です。
金型と印刷物の間に箔を敷き、約170度の高温の熱と圧力をかけて金型を上から押し込むことで、印刷物に箔が転写されます。
接地面に金や銀などの箔が転写され、高級感のある商品になるのが特徴です。
シュリンクとは、ポリエステルやポリスチレンなどのフィルムに熱を加えると収縮する反応を利用し、容器に密着させる方法です。
筒状やカーブのある形状、凸凹にもぴったりと貼り付くため、ペットボトルや化粧品ボトルのラベル、サンプルの密閉などに使われています。
近年では、デジタル印刷機で生産することにより、少ロットからの印刷も可能になりました。
インモールド印刷とは、まず2つに割った金型に材料の樹脂を入れたら、これらを合わせて樹脂を熱で膨らませることにより容器を成型します。その際に、金型内に印刷したラベルもセットし、熱により容器へ溶着させる方法です。
加熱された樹脂の熱でラベル内面の接着剤が活性化するため、樹脂容器とラベルがほぼ一体となり、直接印刷したように見えます。
化粧品のボトルデザインを考える前に、化粧品の販売ターゲットや販売経路などを決めておく必要があります。
また、デザインの印刷方法にはさまざまな種類があるので、ボトルのデザインや素材に合った方法を選びましょう。