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2024年04月15日

【コラム】ブロー成型とはどんなもの?種類や工程について紹介

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ブロー成型とは、今や私たちの生活に欠かせないプラスチック製品の加工に使用されている技術です。樹脂の内側から空気を吹き込むことで、ペットボトルや液体洗剤の容器など、さまざまな製品を生みだしています。 今回は、ブロー成型の種類をはじめ、メリット・デメリットについて解説します。ブロー成型への理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。



■ブロー成型の種類

ブロー成型の「Blow」は日本語で「吹く」と訳されますが、技術が発達したことにより、さまざまなブロー成型が誕生しました。同じブロー成型でも、方法によって呼び名や特徴が異なるため、以下で種類別に詳しく見ていきましょう。


・押出ブロー成型

ダイレクトブロー成型とも呼ばれる押出ブロー成型は、加熱させた樹脂を押し出してパリソン(樹脂を予備成型する状態)を成型したのち、冷却したり固定したりせずにそのまま空気を吹き込む「ホットパリソン式」です。
冷却せずに成型する方法は、ガラス瓶の製造で古くから使われてきた技術ですが、押出ブロー成型はそれを応用して大量生産できることから、食品容器を中心とした幅広い分野で活用されています。また、押出ブロー成型で空気を吹き込む方向は、一般的に上方向が主流です。


・射出ブロー成型

成型工程が2段階に分かれる射出ブロー成型は、成型した品の底に接合跡が付かず、先述した押出ブロー成型よりも精度の高い製品を作れるのが特徴です。射出ブロー成型を行う方法は、大きく以下の2つに分けられます。


<ホットパリソン式>

有底パリソンを射出成型してから取り出し、ブロー用に移してから空気を吹き込む方法です。


<コールドパリソン式>

射出成型してから取り出して一度冷却したパリソンを、再度加熱してから吹き込む方法です。

コールドパリソン式であれば、再加熱する前のパリソンを中間製品として出荷もできます。


・延伸ブロー成型

延伸ブロー成型は、射出ブロー成型の工程にロッドの延伸を組み合わせた方法です。
樹脂の加熱後、ブロー用の金型へ移してから、加える軸方向の延伸にブローの工程で膨張する際に加える径方向の延伸で成型します。それぞれの延伸をバランスよく組み合わせることで強度が上がり、透明度やガスバリア性も高まりますが、樹脂の温度管理が重要になる点に注意しましょう。 医療品容器などの透明性を求められる分野や食品容器など様々な製品に用いられています。


・多層ブロー成型

多層ブロー成型は、2種類以上の材料樹脂を共押出しすることで多層化したパリソンを成型し、再度加熱してから空気を吹き込んで成型する方法です。複数の樹脂を使用するため、強度はもちろん、変質防止や酸化防止にも効果があります。また、酸素や紫外線、含有成分などにより、劣化したり変質したりしやすい容器にも活用されているのが特徴です。
身近な容器には、マヨネーズ容器などがあります。


・3次元ブロー成型

コンピュータ制御を用いて金型にパリソンを流し込み、複雑な形の製品を成型する方法を3次元ブロー成型と呼びます。エアコンのホースやパイプなど、湾曲していたり蛇腹だったりして成型が難しい製品のブローを可能にしました。
たとえば、押出ブロー成型で複雑な形を成型する場合、金型から漏れた樹脂の固まりである「バリ」や、樹脂が垂れる「ドローダウン」などの発生が危惧されます。3次元ブロー成型なら、コンピュータを活用してパリソンを寝かせるように流し込むことで、問題を回避した成型が可能です。



■ブロー成型のメリット

ここでは、ブロー成型のメリットについて解説します。メリットを知ることで、製品に適した方法を検討できるでしょう。

 

・金型のコストが低い

ブロー成型金型は、射出成型金型に比べて構造がシンプルで、金型にかかる費用も比較的安価に抑えられます。たとえば、同じ容器を射出成型で作る場合、コアとキャビティの金型が必要で、金型の構造もブローに比べ複雑になります。しかし、ブロー成型であれば、2面の金型で済みます。
金型が少ないことで安くなるほか、組み立てる時間も短縮でき、結果として製作にかかる工期も短縮できるため、結果としてコストの削減が可能です。


・形状の変更が比較的簡単

ブロー成型の場合、金型を切削加工機で調節できます。先述したように金型の数も少なく構造もシンプルなことから、多少の変更であれば、簡単に改修することが可能です。また、射出成型に比べて金型に関する精度の制約は少なく、容易に改造作業を行えます。そのため、形状変更に伴う改造にかかる費用も安価に済むでしょう。



■ブロー成型のデメリット

続いて、ブロー成型のデメリットについて見ていきましょう。


・ 形状の制約が多い

ブロー成型は、射出成型に比べて形状の制約が多い傾向にあります。吹き込んだ空気の圧力で樹脂を成型することから、金型内で樹脂が均一になりにくいうえ、エッジの効いた形状やカーブの丸みが小さい形状、とがった形状は整えるのが難しいでしょう。また、成型不良を起こす可能性もあるため、不向きな形状には注意が必要です。


・厚みのコントロールが難しい

空気を吹き込んで金型にフィットさせるため、金型に触れている箇所の精度は比較的高いですが、触れていないところはコントロールが難しく、精度が悪くなりやすいです。同様の理由で、厚みのあるケースも難しいでしょう。
また、溶融樹脂の粘度が低い場合には、ドローダウンと呼ばれる樹脂が垂れ下がる現象も発生しやすく、「偏肉(成型した製品の上下で厚みが揃わないこと)」を招きます。



■ブロー成型の工程

以下では、押出ブロー成型の工程を解説します。樹脂を押し出して製品が仕上がるまでの流れは、以下の通りです。


・樹脂の押し出し

はじめに、押出機のホッパーに樹脂を投入してからヒーターで加熱します。押出スクリューの回転を受けた後、ヘッド部分を経由してからリング状のダイ(口金)へ向けて押し出しましょう。
なかには、ダイを複数個用いていくつもの樹脂を押し出すことで、効率的に生産性を高めているケースもあります。


・パリソンの成型

ダイを通過して押し出された樹脂は、パリソンと呼ばれるブロー成型する前の予備成型の状態です。


・型締め

金型を閉じてパリソンを挟みます。パリソン内部にブローピンと呼ばれるエアブロー装置から圧縮した空気を吹き込んで膨らませ、冷やした金型に樹脂を押し付けて固化していきます。


・冷却

一定時間冷やし固めたら、金型から外して製品を取り出していきます。製品を取り出したら、金型から漏れてしまった「バリ」と呼ばれる樹脂を取り、きれいに整えれば完成です。



■まとめ

ブロー成型の種類によってメリットやデメリットがあるため、製品の材質、形状、数に合った方法で様々な容器が製造されています。製造方法を理解することで、容器への理解がより進みます。

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