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2024年03月15日

【コラム】生鮮食品は容器の有無で販売時の表示方法が異なる?表示に関する基本的なルールについて

 

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生鮮食品とは、新鮮であることが前提の食品で、「農産物」「水産物」「畜産物」の3つに分けられます。「加工食品」や「添加物」以外の食品が該当し、食品表示のルールや表示方法も異なるため、本記事で詳しく見ていきましょう。

今回は、基本的なルールも踏まえて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

■生鮮食品の概要と加工食品との違い

 

ここでは、生鮮食品と呼ばれる食品と加工食品との違いについて解説します。どちらに該当するか、あらかじめ確認しておきましょう。

 

・生鮮食品とは

そもそも生鮮食品は、新鮮でなくてはいけません。食品表示基準でも、「加工食品及び添加物以外の食品」と定義されています。また、消費者が商品を選択しやすいように、農林水産省が品質表示の最適化を目的として定めたJAS法に従い、以下のように分類されているのが特徴です。

 

<農産物(きのこ類、山菜類、たけのこを含む)>

米殻・麦類・雑穀・豆類・野菜・果実・その他の農産食品

 

<水産物(ラウンド、セミドレス、ドレス、フィレー、切り身、刺身(盛り合わせたものを除く。)、むき身のほか、単に凍結させたものや解凍したもの、生きたものを含む)>

魚類・貝類・水産動物類・海産ほ乳動物類・海藻類

 

<畜産物>

食肉・乳・食用鶏卵・その他の畜産食品

 

・生鮮食品に該当するもの

生鮮食品には、以下の特徴または状態のものが該当します。

 

    切断前であること:野菜や魚など、そのままの状態で手を加えていないこと

    カット・スライスした状態:刺身や食肉のスライス、カット野菜など

    単品:食品がそれぞれ1種類であること(まぐろの刺身、キャベツの千切りなど)

    同種混合:同系統の食品を1つにまとめること(びんちょうまぐろときはだまぐろの刺身、牛ひき肉と豚ひき肉のミンチなど)

 

・加工食品に該当するもの

加工食品とは、味つけや調理された食品を指します。表示方法もそれぞれ異なるため、取り扱う際は注意しましょう。加工食品に該当するものは、以下の通りです。

 

    加工済みの食品:味つけや火を通したもの(食肉に下味をつけたもの、魚の刺身をあぶったもの、焼きいもなど)

    異種混合:別の食品を盛り合わせること(まぐろとサーモンの刺身、牛タンと豚タンの盛り合わせなど)

 

ただし、生鮮食品の中でも加工食品に該当する食品もあります。

 

    生鮮食品と加工品の混合:2つの食品を1つにまとめたもの(まぐろの刺身とゆでタコの盛り合わせ、キャベツと缶詰コーン、馬刺しとローストビーフなど)

 

 

■生鮮食品の表示に関する基本的なルール

 

生鮮食品の表示は、「横断的義務表示」と「個別的義務表示」の2つの区分に分けられます。以下でそれぞれ詳しく見ていきましょう。

 

・横断的義務表示

名称や原産国など、必ず表示すべき事項を「横断的義務表示」と言います。他にも、使用方法や保存方法、消費期限のほか、添加物なども必要に応じて対応しなければなりません。また、特定保健用食品や機能性表示食品、乳幼児規格適用食品である旨も項目に含まれます。放射線照射に関する内容や、遺伝子組換え農産物も例外ではありません。計量法第13条1項に規定する特定商品である場合は、密封されたものに限り、内容量や関連業者の名称も表示が必要です。

 

・個別的義務表示

横断的義務表示の他に、個別でルールが設けられているものが「個別的義務表示」です。

 

    玄米および精米

    しいたけ

    食肉(鳥獣に限る)

    生乳

    水産物

    鶏卵(殻付き)

    豆類(シアン化合物を含有するもの)

    生かき

    かんきつ類など

 

切り身、またはむき身にした生食用の魚介類や凍結させたものも含まれます。特に、ふぐに関しては生食用問わず、内臓を除去し、皮をはいだ切り身、精巣および皮など細かく定められているので、よく確認しておきましょう。

 

 

■生鮮食品の表示の仕方について

 

次に、生鮮食品の表示について解説します。表示する内容はケースにより異なるため、間違えないように注意しましょう。

 

・バラ売りで生鮮食品を販売する場合

生鮮食品をバラ売りする場合、食品から近い場所に「名称」「原産地」を表示しましょう。ダンボールに表記があるケースでは、そのまま陳列することも可能です。

ただし、遺伝子組換え農産物であったり放射線を照射したりしている食品は、陳列用容器や値札、POPなどに別途その旨を表示しなくてはなりません。また、防かび剤や防ばい剤を使用している食品にも表示が必要です。

 

・容器包装に入れて生鮮食品を販売する場合

生鮮食品を容器に入れる場合、消費者の視点に立って、見やすい位置にラベルを貼りましょう。ラベルの文字にも指定があり、活字で8ポイント以上で表示しなくてはなりません。また、バラ売りとは異なり、名称と原産地以外にも以下の記載が必要です。

 

    使用方法

    保存方法

    消費期限

    添加物

 

計量法で定められている特定商品についてはさらに指定があり、容器包装に入れて販売する際は、内容量以外に氏名と住所も表示しなくてはいけません。

 

 

■販売形態等による生鮮食品の表示の違い

 

販売形態等によって表示に必要な事項は異なるため、以下で確認しておきましょう。

 

・販売形態等により表示を必要としない事項

<容器包装あり>

 

販売形態 生産場所以外で販売する場合    生産場所で直接販売する場合
●    不特定または多数の者に対して譲渡する場合(販売を除く)
表示を必要としない    名称
●    原産地
●    内容量
●    食品関連事業者の氏名または名称および住所
●    玄米や精米に関する事項
●    栽培方法(しいたけのみ)
●    解凍や養殖した旨(水産物のみ)
備考 すべての表示が必要 食品の安全性に関する表示事項は義務表示
●    放射線照射の有無に関する事項
●    乳児用規格適用食品である旨
●    食肉に関する必要事項 など

 

<容器包装なし>

 

販売形態 生産場所以外で販売する場合 ●    生産場所で直接販売する場合
●    不特定または多数の者に対して譲渡する場合(販売を除く)
表示を必要としない ●    放射線照射の有無に関する事項
●    乳児用規格適用食品である旨
●    内容量
●    食品関連事業者の氏名または名称および住所
●    個別に表示事項が定められている食品
適用対象外
備考 自主的かつ合理的な食品選択に関する表示事項は義務表示
●    名称
●    原産地
●    栽培方法(しいたけのみ)
●    解凍や養殖された旨(水産物のみ) など
●    生食用牛肉のリスク表示
その他は適用対象外のため、表示は必要ありません。

 

・包装に直接表示することが困難な場合

生鮮食品の中には、容器包装の形状により、包装への直接表示が難しい場合もあります。直接表示が困難な場合は、以下の方法で対応しましょう。

 

  1. 透明な包装の場合:表示を袋の内側に入れ、外から確認できるようにする
  2. 結び付ける包装の場合:札やプレート、または票せんなどで表示を取り付け、食品とセットにする

 

先程も紹介したバラ売りのように、容器包装がない場合は、食品の近くに立て札やPOPなどを用いて表示しましょう。別途用意する際は、必ず8ポイント以上の文字サイズで背景色と対照的な色を使用してください。ただし、150cm²以上の面積の場合は、5.5ポイント以上の文字サイズでも認められます。

 

 

■まとめ

生鮮食品を販売するときは、加工食品との区分の違いについて把握しておき、該当する食品ではないか調べておきましょう。名称や原産地など、生鮮食品の表示は販売の仕方によっても異なります。バラ売りや袋、結び付ける場合に至るまで細かく指定があるため、販売形態に従って表示事項を確認しておくことが大切です。

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